今、警察に寄せられる「ご近所トラブル」の相談件数が増加しています。
今年3月に発表されたアンケート調査では、約6割が「『ご近所トラブル』を経験した」と回答しました。
誰でも巻き込まれる可能性のある「ご近所トラブル」。
「サン!シャイン」では、ご近所トラブルの解決支援をしている、株式会社ヴァンガードスミス・田中慶太氏に、正しい対処法を教えていただきました。
増加する「ご近所トラブル」
株式会社ヴァンガードスミス 田中慶太氏:
「ご近所トラブル」は社会で解決する仕組みがないっていうのが一番あって、それを解決するために僕ら10年前に事業を始めたんですけど。
解決してないというものがたまっているということと、それに新しいものが乗っかってきているので、結果として増えているということになるんですけど。

最近の事例でいうと、リモートワークで在宅時間が長くなって音を感じやすくなる。ご高齢の方が増えているとかそういうのもあります。
あとは、外国人の方が悪意なく文化とか習慣の違いで、ちょっと嫌な思いをされる日本人の方がいらっしゃるとか。
意外と知られてないんですけど、景気の悪化とか気持ちに余裕がなくなるような事象をもとにちょっと不寛容になってしまって、トラブルとして噴出してしまうようなことが起きたりします。

岩田明子氏:
私はNHK時代、後輩が騒音トラブルに巻き込まれてしまって。壁が薄く、ベッドを壁につけていて、寝返り打ってドンドンって音を立てちゃってたらしいんですけど、ある日、ドンッと蹴り返されたそうで、謝りに行ったんだけど、蹴り返されることが続いて、ある日、ベランダ伝いに侵入してきて「てめえこのやろう!」とやられて逃げたそうで…。警察に相談して引っ越したっていう話を聞いて、ちょっと背筋が凍りましたね。

実際にこんなトラブルも…。

20代男性のケース。
分別をしないままゴミを出してしまったところ、近所の男性が気づいてゴミ袋を開け特定されて、そのゴミが玄関前に置かれてしまいました。それ以来、ルールを守っていたのに、未分別のゴミはすべて自分だと決めつけられ、玄関前に置かれるようになってしまったといいます。
田中慶太氏:
トラブルの大半は誤解の積み重ねになってくるんですけど、だんだん悪化していって「嫌い」っていう感情になってくると、もうすべて「この音が隣の人だ」とか、「このゴミはあいつだ」というふうに見てしまいがちなので、そこを冷静にしていく仕事が本当は必要になってきますね。
ご近所トラブルへの対策「確認」
適切な機関への相談が重要です。トラブルごとに窓口が異なります。

・敷地外のゴミや悪臭
→自治体の「生活環境課」など。ゴミの撤去や調査など対応。
・騒音、つきまとい行為
→警察相談専用電話「♯9110」。指導や警告など対応。
・植木の枝の越境、私有地の無断駐車
→法的に問題解決「法テラス」。無料法律相談など対応。
集合住宅の場合は、まずは管理会社に相談を。注意喚起や張り紙などの対応をしてくれます。
田中慶太氏:
私たちは、マンションや戸建てに限らず、早い段階で相談をいただくようにしています。
法テラスとか警察って最終、かなり重篤化した状態なので、その手前でやってあげないと法律的にトラブルを解決する方に持っていっても、その後住み続けられなくなっちゃうんですね。なので、できるだけ早く双方に状況を聞いて、先ほどの壁ドンの話も、本人は困っているから壁ドンしてるんですよね。でも相手からすると、すごく迷惑な行為ですよね。
本人は正当性を持ってやってるんですけど、今あなたの方が問題行動されてませんか?っていうのに気づいていただく作業をしていくと冷静になっていくので、公平に何が事実で何で困っているのかということを聞いた上で、コミュニケーションを中間処理していくっていうのをやっていくと結構早く収束していく性質のものではあります。
ご近所トラブルへの対策「証拠を残す」
田中慶太氏:
「困っている」という状況を伝えるにおいて、一番は動画と音声が残っていることがトラブルの程度がすごく分かりやすくなるので協力していただきやすくなります。

鈴木おさむ氏:
こっそり録音しておいても証拠になるんですか?
田中慶太氏:
法的にというとまた別のお話になってきますが、誰かにこれを相談するということにおいては全く問題ない行動かなと思います。
難しければ、内容と時間と頻度をしっかり記録をしていくということがすごく重要だと思います。
トラブルが起きたときのNG行動
ご近所トラブルに遭遇した場合、やってはいけない行動もあります。

・相手と直接話す
指摘することでさらなる騒音などにつながるケースが多い
・我慢する
我慢を続けることで被害者感情が高まり、解決に向かいにくい
・壁をたたく
たたく行為が迷惑行為。さらなるトラブルに発展する危険性大
ご近所トラブル発生のリスクチェックリスト
チェック項目に1つでも当てはまらない人は、悪気がなくても近所の人を不快にさせている可能性があります。

・普段テレビの音量を気にしている
・ドアの開け閉め、足音を気にしている
・ゴミ出しのルールを把握している
・近所の人に挨拶をしている
・ベランダでゴミを一時保管していない

田中慶太氏:
もし指摘されたら、まずは協力的な反応をするということが一番で、やっぱり皆さん住み続けなきゃいけないですから、ご近所同士もめないのが一番なので、最初の反応に気をつけるということと、もし謝罪を求められても何に対しての謝罪なのか、限定的にしっかりどの点について謝罪するのかというのははっきりした方がよくて、全て謝るとその後の関係性がまた難しくなったりします。
あとは、その時に心当たりがあるのであれば、それについて改善をすればいいと思いますし、「ちょっとこれは…」というふうに思った時には「管理会社さんに相談しますね」とか、一旦その状況を切って、全てを受け入れる必要はないので、何について改善ができるのかというところをしっかり話してあげるというのが大事かなというふうに思います。
心がけるキーワード
田中氏が推奨する、生活するうえで心がけたいキーワード3つ

「相互認識」
自宅の外には他人の生活があると心にとどめておく
「音はゼロにならない」
お互いに配慮・対策、理解・許容が必要
「自分の常識は他人の常識ではない」
価値観は人によって異なることを意識する。許容範囲は人それぞれ
(「サン!シャイン」6月10日放送)