最初にクマの姿が確認されてから1週間、ようやく解決に至った。山形・酒田市の寺の床下に入り込み居座っていたクマが、仕掛けていたワナで捕獲され市内の山へ放された。また、2025年は過去最多のペースでクマが目撃されていて、「クマ出没注意報」も出されている。

クマが出没した場所は幼稚園・学校がある住宅街
クマが現れた現場は最上川沿いの住宅街で、すぐそばには幼稚園、約1.5キロ圏内には小学校や中学校もある。

市は近くの住民に対し、建物にクマが入らないよう出入口に必ず鍵をかけること、クマを寄せつける食べ物などを外に放置しないこと、登下校時は保護者が付き添うよう呼びかけていた。

寺本堂の床下から逃げられないよう囲み箱わな設置
酒田市によると、居座っていたクマは体長約1メートルの成獣で、発見時はワナのすみでうずくまっている状態だった。
クマの侵入が確認されたのは6月3日午後8時すぎで、酒田市若竹町にある法輪寺の本堂の床下に入り込む姿が防犯カメラに映っていた。

市は対策本部を設置し、本堂の床下をバリケードで囲みドラム缶型の箱わなを設置していたが、6月5日まではえさだけが食べられ捕獲には至っていなかった。
その後、猟友会がワナにかかりやすいよう変更するなどして監視を続けていたところ、8日午後7時ごろ、クマが箱わなの中にいることが確認された。

麻酔で眠らせ運び出し市内の山に放した
そして9日午前4時20分すぎ、獣医師がクマに麻酔を打って眠らせたうえで運び出した。
クマは午前8時ごろ、市の職員などにより市内の山に戻されたという。

酒田市環境衛生課・佐藤傑課長は、「えさに向かって進んで来て、箱わなに入ったと考える。安全な・人に危害を加えない場所で放獣を予定している。交通規制・学校の登下校にも保護者の送り迎えがあり心配をかけたが、まずは一段落。解決に向けて動きがあったということで安心してもらえれば」と、話していた。
クマがいなくなったことで、6月3日から続いていた寺周辺の交通規制は解除された。

過去最多ペース・クマ目撃169件
9日には県危機管理調整会議が開かれ、高橋徹副知事や防災くらし安心部長など約30人が出席し、県の危機管理について話し合った。
会議の中で、県の担当者から「目撃件数が過去に例を見ない数で推移していて、クマの人身被害のおそれがより高まっている状況と認識しているところ」と報告があった。

県内で相次ぐクマの出没については、2025年5月末までに計169件の目撃情報が寄せられている。
これは前の年と比べて97件増え、統計をとり始めた2003年以降、過去最多のペースとなっている。

県は5月8日に「クマ出没注意報」(8月31日まで)を出し、家の周りにクマのエサとなる果実の取り残しや、生ごみを放置しないことなど注意を呼びかけている。
(さくらんぼテレビ)