【斎藤元彦・兵庫県知事】「行政の長として責任を重く受け止め、自分自身への処分として給与減の割合の引き上げを行わせていただきたい」
斎藤知事は、2021年の1期目の就任時から公約に掲げていた30%の給与カットを今も実施しているが、一連の「情報漏えい」問題を受け、さらに20%上乗せし、来月からの3カ月間、計50%の給与をカットとする条例案を議会に提出した。
先月、県の第三者委員会は、知事の疑惑を告発した元県民局長の私的情報について当時の総務部長が外部に漏えいしたと認定。さらにこの漏えいが「斎藤知事や当時の副知事による指示の可能性が高い」との見解を示した。
しかし、斎藤知事は一貫して関与を否定。給与カットについても、「情報漏えいが起きた組織のトップとしての責任」と位置づけ、第三者委の指摘には言及していない。
県議会の最大会派の自民など4会派は3日、真相解明のために、当時の総務部長を刑事告発するよう県に対して申し入れしたが、斎藤知事は「真摯に受け止めるが、刑事告発をしない考えに変わりはない」とする。
真相解明がされていない中での条例案の提出に、議会側が「納得できない」と強く反発している。

■「話にならない」「この条例だけは認めてはいけない」
【自民】「この条例だけは認めてはいけない。これで幕引きにさせてはいけない」
【維新】「知事がこれまでしてきたことすべてに対しての責任としての減給なら賛成できる。しかし、これはあくまで部下が『情報漏えい』をしたことに対する上司としての責任と言っている。賛成できるわけがない。知事はチャンスを逃した」
【公明】「事実関係が明らかになっていないのに何に対して責任をとるのか。責任の捉え方が根本的に違う」
【県民連合】「反対。話にならない」

■「継続審議」で事実上の「棚上げ」に
条例案は、今月12日の本会議で採決される予定だが、一部の会派は、採決を見送り「継続審議」に持ち込む動きも見られる。
公明の県議会幹部は「責任を取ること自体は当然で、反対する合理的な理由は見つからない。ただ、全容が明らかでないまま『幕引き』されてはならない。全容が明らかになっていない状況で、責任だけを取ると言われても納得できない。このままだと永遠に継続審議もあり得る」と語る。
別の関係者によると、「継続審議」で事実上の「棚上げ」にしようという調整が水面下で進んでいるという。

■矢面に立つのを避ける議会
背景にあるのが来月に控える参議院選挙だ。
ある会派の関係者は「党本部から今は穏便に済ませるように」という指示があったと語る。
給与カットの条例案を「否決」することで荒波が立たち「矢面」に立つことを避け、参院選への影響を最小限にするのが狙いだ。

■「斎藤知事に勝てる候補いない...」
「パワハラ」「情報漏えい」。
斎藤知事は県が設置した第三者委員会から2つの重大事案の認定を受けながら、議会側には2度目の不信任提出に向けた動きはない。
その理由について、公明のある県議は「仮に不信任を突きつけても、知名度のある斎藤知事に勝てる候補がいない」と本音を明かす。
先行きが見えない、“知事の責任”問題。
採決して知事の「処分」を認めるのか、継続審議に持ち込むのか。
条例案の審議をする議会側の姿勢も問われることになる。
(関西テレビ・斎藤知事取材班)
