2023年にミャンマーから覚醒剤を密輸入した罪や、監禁・強盗致傷などの罪に問われている中国人の男の裁判が新潟地方裁判所で開かれている。検察側は男の一連の行為は反省がなく、再犯の可能性が高いなどとして懲役18年を求刑。一方、弁護側は「確実に有罪と言えるのは、道路交通法違反の無免許運転と速度超過のみ。それ以外は無罪だ」として執行猶予付きの懲役1年が妥当だと主張している。真っ向から対立している今回の裁判。論告・弁論の場で男が語った言葉とは?

中国人の男の裁判 争点は?主張が真っ向から対立…

覚醒剤取締法違反、関税法違反、監禁、強盗致傷、道路交通法違反の罪に問われているのは中国籍で東京都葛飾区に住む麻雀店経営の男 (30)だ。

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起訴状などによると、男は2023年1月、仲間と共謀し、ミャンマーから2回にわたり国際スピード郵便を使って上越市の集合住宅などに覚醒剤を隠し入れた荷物を送り、覚醒剤合わせて5.4キロを密輸入しようとした罪、また、2023年2月に知人女性らと共謀し、東京都内で20代男性を美人局の手口で脅して車などに監禁、その上で暴行し、5000万円を借りた旨の契約書に署名させ、「とりあえず手持ちの金を出せ」と脅すなど暴行脅迫を加え、現金約30万円を奪い、男性に全治1週間のけがを負わせた罪、その他無免許運転と速度超過の道路交通法違反の罪に問われている。

今回の裁判では、覚醒剤の密輸について、共謀が認められるか、監禁・強盗致傷については、監禁の有無、共犯者との間に監禁・恐喝の共謀はあったか、暴行・脅迫をしたか、被害者は暴行により傷害を負ったかなどが争点になっている。

初公判で道路交通法違反以外の罪について否認した男。11月26日の論告・弁論では、スーツ姿で青いネクタイをつけて出廷した。

「俺はチャイニーズドラゴンだ」と脅迫も

検察側は男が「警察に言って強姦の罪で刑務所に3年入るか、俺たち2人のうち1人と戦うか選べ。お前が負けたらお前の指を3本切る。俺はチャイニーズドラゴンだよ」などと脅し、被害男性に強い恐怖心を抱かせたことなどを指摘。

また、自身の経営する店舗では強姦をした旨の因縁を付け、賠償金を払うよう迫り、暴行を加えて全治約1週間のけがを負わせ、5000万を貸渡した旨の契約書4枚に署名させたと主張した。

検察側:
監禁・強盗致傷については計画的で悪質、美人局の手口で強い恐怖心を抱く言葉と暴力で14時間もの間監禁したことに同情の余地はない。また、覚醒剤を密輸入しようとした事件では多量の覚醒剤を国内に持ち込んだ。組織的犯行で重要かつ必要不可欠な役割を果たした。金銭目的の犯行で同情の余地はない。

こう話し、男に対して懲役18年、および500万円の罰金を求刑した。

弁護側「共犯は成立しない」

一方、弁護側は金銭目的の暴行・脅迫はなく、密輸入については仲間らとの共謀関係はなく、中身が覚醒剤だと知らなかったので故意ではないと主張。

弁護側:
監禁・強盗致傷の被害男性の供述は客観的証拠と一致していない、一貫性がない、あえて自己に都合のよいものになっている。一方、男の供述は具体的詳細で一貫性があり、他の証拠と整合している。

こう主張し、覚醒剤取締法違反、関税法違反については無罪、監禁恐喝について共謀はなく、共犯は成立しないと訴えた。

また、「強盗については強盗罪の暴行脅迫がなく無罪。傷害については男に認識がなく、確実に有罪と言えるのは道路交通法違反の無免許運転と速度超過のみ」として執行猶予付きの懲役1年が妥当であると述べた。

最終弁論で男が語った言葉は?「求刑が重すぎて…」

そして最後に証言台に立ち、審理を終えて言いたいことはと問われた男は…

男:
検察側の求刑が重すぎて驚いているノートを見ながら話してもいいか、緊張して頭が真っ白だ。

こう話し、自分が言いたいことを記載したノートを読み上げる形で通訳を介して発言した。

男:
覚醒剤の事案については犯人ではない。仲間との共謀は一切ない。覚醒剤であることを知らなかった。今となっては現地にいたことを後悔している。監禁強盗については、知人女性と共謀はしていない。女性が強姦されたと判断し、代わりに賠償金を請求した。その話し合いの途中で男性が良くない態度を取ったため蹴ってしまった。それについては申し訳ない。反省している。30万円のお金は奪っていないし、監禁もない。この3年間やってきたことを反省して今後二度と法に触れることはしない。真面目に生きる。どうか私を信じてください。

判決は12月5日に言い渡される。

NST新潟総合テレビ
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