6月3日、北海道の日本海沿岸で過去最大クラスの地震と津波を想定した被害予測が発表された。

死者は最大7500人。

沿岸の町では何が起きるのか、そして命を守るために必要な行動とは。

死者数は最大で約7500人を想定

「人的被害のうち、死者数は最大で約7500人」(北海道防災会議での発言)

6月3日、北海道から発表されたのは、北海道の日本海沿岸でマグニチュード7を超える大地震と津波が起きた場合の被害想定。

対象は、稚内市から松前町までの33の市町村。

津波の高さは、稚内市・留萌市・石狩市など10メートルを超える所が多く、特に神恵内村や、せたな町、奥尻町、松前町では25メートルを超える巨大な津波が想定されている。

想定津波高(m)
想定津波高(m)
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地震・津波の発生が冬の深夜で、早く避難する人が少なかった場合、死者は、最大で約7500人にのぼるとした。

32年前(1993年7月)の北海道南西沖地震では、奥尻島に地震後、5分もたたずに津波が到達。

津波の高さは29メートルに達し、多くの人が犠牲になった。

2024年1月の能登半島地震でも、地震後、わずか1分で津波がきた。

共通しているのは日本海沿岸は、「津波がすぐ到達する」ということだ。

「ひとたび地震が起こってしまうと、津波から避難をすぐしないと、多くの被害者が出てしまう」(北海道防災会議のワーキンググループ委員 北海道立総合研究機構 石丸聡さん)

最も深刻な被害想定が出た稚内市
最も深刻な被害想定が出た稚内市

深刻な被害想定は稚内市

最も深刻な被害想定が出たのは稚内市だ。

津波は最大約12メートル、最短2分で到達と予想され、夏の昼間に起きた場合、最大4千人の犠牲が出るとされている。

市はまず、避難の意識を高めていきたいとしている。

「昼、夜も含めて、何かあったらすぐ逃げるということをこれから周知していきたいというふうに思っています」(稚内市企画総務部 防災主幹 大久保和彦さん)

「小樽市銭函です。海の近くに線路があります。津波が来れば、すぐに被害にあいそうで恐ろしく感じます」(三宅真人記者)

小樽市銭函の海岸沿い
小樽市銭函の海岸沿い

JRに乗っていた際の避難方法は

小樽市銭函。

海岸沿いを札幌と小樽を結ぶ線路が走っている。

夏は海水浴客でも賑わう銭函付近は、最大約6メートルの津波が想定されていて、住宅や線路も浸水する恐れがある。

列車に乗っていた時に、津波が来たらどうすればいいのだろうか。

「どうしたらいいかなって思っちゃうよね」(利用者)

「もう山に向かって一直線で走るしかないですね。とりあえずそれしかないです」(利用者)

「お客様にお知らせいたします。緊急地震速報を受信したため停車しています」(JR北海道の津波避難訓練時のアナウンス)

これは2024年8月に、北海道太平洋側の室蘭市や白老町で行われたJR北海道による避難訓練の様子だ。

東日本大震災をうけて、定期的に訓練を行い、この日は110人が参加。

高台まで地震発生から23分で避難が完了した。

JRは今後も沿岸部を中心に訓練を重ねるとしている。

国は、北海道日本海沿岸で30年以内に最大クラスの地震が発生する確率は、0から0.1パーセントとしている。

確率は低いものの、地震がいつ起こっても「すぐ逃げる」ために、避難場所の確認やハザードマップの把握が必要になりそうだ。

JR北海道公式YouTubeより(訓練の様子)
JR北海道公式YouTubeより(訓練の様子)
北海道文化放送
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