福岡・糸島市。玄界灘に突き出た糸島半島の西側に位置する船越漁港では、5月から出荷が始まった”新名物”の水揚げが、忙しくなっている。
冬の名物の3~4倍の大きさに
漁師の仲西一男さんの船で沖に出ること数分。見えてきたのはカキ棚だ。「夏なのにカキ棚?」と訝る記者に「夏だからこそカキ棚です!」と仲西さん。

海中から引き上げられたのは、岩ガキ。ずっしりとした塊で、サイズは大人の手のひらほどもある。

糸島市では5年ほど前から市場に出されている岩ガキ。冬の寒い時期が旬とされる真ガキとは別の種類で、6月から9月までが旬だ。2~3年ほどかけて養殖されるため、真ガキの3倍から4倍ほどの大きさにまで育つ。

岩ガキは水揚げしたあと、殻をひとつひとつ磨き、紫外線殺菌水に24時間浸けて浄化処理される。“生”で食べるのが、おすすめということだ。

試食した記者は「食べ終わったあとがさらっとしている。全然、冬の真ガキとは味わいが違います」と話す。濃厚だが、くせがない味なのだ。
香港からの観光客も大満足
糸島市内の産直市場『伊都菜彩』でも糸島産岩ガキの取り扱いを開始。毎年、入荷を楽しみにしている人も多いという。

『伊都菜彩』の牧園八也人課長は「売れ行きはいい。電話で『きょう入っていますか』と問いあわせもある。岩ガキは、5月から入って盆前くらいまではある」とその人気ぶりを話す。

さらに、糸島市内だけではなく福岡市内でも糸島産岩ガキを味わえる場所がある。キャナルシティ博多のそばにある『OKUITO(おくいと)』。

糸島在住の店主が、多くの人に岩ガキを味わってほしいと2024年から提供を始めたところ、日本人だけでなく、海外からの観光客にも大人気なのだという。この日も香港からの客が訪れていた。

『OKUITO』の白和忠高さんは「電話で岩ガキの問い合わせがあったり、岩ガキだけを食べに来るお客さんもいたりします。おいしい岩ガキを皆さんに周知してもらって、どんどん人気になってくれたらいい」と話す。

糸島の美しい海が育む新名物、岩ガキ。一度ご賞味あれ。
(テレビ西日本)