親が育てられない赤ちゃんを匿名でも預かる熊本市の慈恵病院の『こうのとりのゆりかご』、いわゆる『赤ちゃんポスト』。そして病院の一部の職員にのみ身元を明かして出産する『内密出産』。5月29日に大阪・泉佐野市がこれらに取り組む意向を示した。実現すれば国内3例目、また行政主導の取り組みとしては初のケースとなる。
泉佐野市が『赤ちゃんポスト』検討
大阪府・泉佐野市の千代松大耕市長は『赤ちゃんポスト』『内密出産』に取り組むため、慈恵病院など先行事例を現地調査するなどの費用800万円の補正予算案を6月定例議会に提出する方針。

設置する場所や医療機関などは決まっていないが、泉佐野市は早ければ2026年度にも運用を始めたいとしている。
慈恵病院・蓮田理事長の『お願い』
国内で初めて2007年に『ゆりかご』を、そして2019年に『内密出産』を独自に導入した慈恵病院の蓮田理事長は、「大阪という大都市にゆりかご・赤ちゃんポストや内密出産ができることは、とてもありがたいわけです」と期待を示した。

また、『泉佐野市へのお願い』として、「一つは匿名性の保障。(女性を)説得して匿名性を撤回させるようなことはしないと。もう一つは〈お金〉のこと。お金は彼女たちに求めるべきではない。泉佐野市で始まる内密出産についてもなさるのなら無料」と、述べた。

蓮田理事長は泉佐野市の現地調査を歓迎するとし、「慈恵病院の情報を徹底的に採り入れてほしい」と語った。

一方、熊本市の大西一史市長は5月30日に「全国的な広がりは望ましい」としたうえで、泉佐野市が行政主導で設置し、取り組んでいくことについて、「これは簡単なことではない。私は市長になってから、この取り組みに関与する中でそう思っているので、覚悟を持っていただくことが重要だと思う」と述べた。
(テレビ熊本)