「とにかく元気になってほしい。元気な人が氷見市に増えてほしい」
能登半島地震の復興支援を目的としたディスコダンスイベントを企画した谷口啓子さん(63)の言葉だ。バブル時代に若者を中心に一大ブームを巻き起こしたディスコが、6月1日に富山県氷見市で復活する。
年齢を超えて楽しむディスコダンス

まぶしい照明に包まれたフロア、耳に心地よく響くリズム。先週末、氷見市内で行われていたのは今週末のイベントに向けたディスコダンスの練習だ。会場には小学生から80代までの幅広い年齢層の参加者が集まり、音楽に合わせて体を動かしていた。

「リズムに乗って楽しく踊って、若い人と一緒にダンスして、自分も若くなったと感じる。若返りの一環と思う」と80代の参加者は笑顔を見せる。家族連れの参加者も「自分が心身とも元気になれて、楽しかったので、孫も一緒に誘った」と話す。
理容師からディスコダンスの伝道師へ
このイベントの仕掛け人は、氷見市内で理容店を営む谷口啓子さんだ。普段は散髪をしている谷口さんがなぜディスコイベントを企画することになったのか。

「ダンスは得意ではなかった。曲に乗って心が高揚して、楽しくなり、健康になれるのがすごくいいと思って、資格をとった」と谷口さん。
5年前、アメリカ発の世界最大のフィットネスインストラクターの資格を取得し、健康づくりを目的としたダンス教室を始めた。中でもディスコは薄暗い環境のため恥ずかしさを感じることなく思い切り踊れることから、谷口さん自身ものめり込んでいったという。
「うまく踊ることを教えたいわけではないので、本当に楽しんでくれれば、それでいい。わくわくして、心が元気になってほしい」
ディスコで広がる笑顔と復興への願い

練習に集まった人々の中には、ディスコ全盛期に青春を過ごしたという60代の参加者もいる。「ノリノリで踊るのは久しぶり。楽しくてしょうがない」と当時を思い出すように話す。別の参加者も「みんなに元気を与えたいし、自分も元気をもらいたい。氷見市を盛り上げていると思う」と目を輝かせる。
今回のイベントには能登半島地震の復興支援という側面もある。当日は募金活動が行われ、集まった募金は氷見市に寄付される予定だ。
「震災にあって、傷んだ所もあり、心が弱った人もいて、笑顔が増えてほしい。元気になってほしい」と谷口さんは話す。
かつてバブル期には情報収集の場であり、交流の場でもあったディスコ。今回のイベントを通じて、世代を超えた新たな交流の場が広がりそうだ。
「ディスコワールドパーティー」は6月1日(日)午後3時から4時半まで氷見市芸術文化館で開催される。観覧は無料で、観客も座ったままリズムに乗って楽しむことができるという。懐かしさを感じる人も、初めての体験となる人も、ディスコの熱気に触れてみてはいかがだろうか。