自動車の街、愛知県豊田市に“愛知のブラジル”と呼ばれるマンモス団地「保見団地」がある。1990年の入管法改正により日系ブラジル人の無期限就労が可能になり、多くのブラジル人が出稼ぎで訪れ、地域で暮らす6割が外国人となっている。あれから25年、団地はどんな変化を遂げたのか。
■海外ルーツの住民が6割の「保見団地」に初のブラジル人区長誕生
豊田市の「保見団地」は、住民の6割が外国にルーツを持っている。日本に来て34年が経った林ロベルト重良さん(68)は、保見団地で初めてのブラジル人区長だ。

区長は地域のまとめ役だ。回覧板やチラシ配り、朝の見守りや防犯パトロール、地域のために何でもやる。
■進む高齢化…日本人の介護を担うのは
ブラジル人と日本人、共生に向けて活動する中で、大きな課題がある。

林ロベルト重良さん:
80歳の人かな、ベッドから落ちたまま。何日か分からんけど、その状態で意識はあったから助かったと思うけれど。
多くの団地と同じように保見団地でも高齢化が進んでいて、2024年は2人が孤独死した。今、保見団地で高齢者の介護を担っているのは外国から来た人たちだ。

ケアセンターほみの上江洲恵子さん:
私たちは訪問ヘルプですから、家に入って。一番難しい。1対1ですから(利用者の)70%が日本人。
■だれがどのように暮らしているのか…ブラジル人区長が調査
林さんが担当する700世帯のうち、区民に登録しているのは380人ほど。誰がどのように暮らしているのか、林さんは調査を始めた。

林ロベルト重良さん:
75歳以上の方にアンケートを。
女性:
どうぞ。外に出ていないのよ、月に1回か2回病院に行くだけだから。交流がないの。
林ロベルト重良さん:
今は僕一人で色々やってるけど、僕一人じゃなくて、やっぱり外国の方がもっとここに入ってもらったら、もっといい方向に行くんじゃないかなという気がする。
■愛知出身の俳優 佐藤二朗さん「林さんの姿は狭いものではない」
ドキュメンタリー「ブラジル団地 ふるさとは二つ、世界は一つ」では“愛知のブラジル”から見えた日本の姿を描く。
ナレーションを務めた俳優の佐藤二朗さんは「保見団地」がある、同じ愛知県の生まれだ。春日井市で生まれ、東郷町育ったが、保見団地のことは知らなかったといい、「共生を目指す地域があるというのは驚いた」と話した。

佐藤二朗さん:
林さんのように本当に地域に根付いて、地域の為にっていう人がいるのはすごく地域の人にとって心強いだろうし。色々な問題を何とかしようと思っている林さんの姿は決して狭いものではないなと思いましたね。その地域のために捧げる人生っていうのは、すごくなんかね、広い感じがしました。
放送は2025年5月29日放送の24時15分から。
(東海テレビ)