物価高の中、水道料金も値上げの動きが相次いでいて、ラーメン店からは悲鳴が上がっています。料金の「地域格差」も生じていて、愛知県内では最大で3倍以上にもなっています。
■名古屋市は約10%の値上げへ ラーメン店主「“たった10%”じゃない」
名古屋市南区にある「らーめん天葵」は、鶏のうまみが溶け込んだ濃厚なスープが特徴の人気のラーメン店です。しかし、水道代の値上げに悲鳴を上げています。
店では、スープを適温に保ったり麺を茹でたりするため、水を多く使います。

らーめん天葵の天和豊さん:
ずっと火は入れっぱなし。客来ようが来なかろうが、どんどん減って行くから、どんどん水を使います。継ぎ足しで。
さらに、スープをイチから作るのにこだわっていて、大量の鶏ガラを丁寧に血抜きするために、手洗いをしながら何度も水を取り替えています。

らーめん天葵の天和豊さん:
味にも変化がありますね。雑味とかが出てしまう。鶏臭さといいますか。きちっとやらないと、美味しいものができない。
味にこだわるためには、水の使用は避けられないのが現状です。しかし、名古屋市では2025年10月分から、水道料金を平均で10%値上げすることになっています。
店の直近2カ月の水道代は1万1000円あまりでしたが、夏場にかけて5割ほど増える見込みで、そうなると月に2000円近く負担が増える見込みです。

ガスも電気も高騰する中、米は知り合いの農家から直接仕入れてコストを減らし、お得なランチセットを930円で提供してきましたが、それも「限界だ」と話します。
らーめん天葵の天和豊さん:
ただでさえ電気ガス値上がりする中で。“たった”じゃない。10%は大きい。
水道料金の値上げは各地で相次いでいて、岐阜市では2025年4月からすでにおよそ10%値上げを実施しました。岐阜県中津川市では、10月使用分から段階的に30%値上げすることを決めました。
施設の老朽化や耐震対策などを進めるため、という理由です。
■三重県津市では基本料金が「2カ月無料」に
水道料金の値上げが相次ぐ中、三重県津市では、2025年6月からの2カ月間、水道の基本料金が無料になります。
物価高騰などを受け国の臨時交付金を活用し、市が給水契約をしている全ての水道使用者が対象となります。
津市上下水道管理局 経営企画課の鎌井幸則課長:
水道の普及率はほぼ100%近いということで、市民の方全体に効果があるので今回水道料金の無料化をさせて頂いた。
期間は、6月から7月に検針し料金が確定する2か月間で、手続きは不要です。
■愛知県内で3倍の地域格差 背景に「市町村ごとの運営」
値上げもあれば値下げもある水道料金ですが、背景にあるのが、そもそも水道事業は多くが市町村ごとで運営していて、それぞれが料金を定めていることです。
愛知県内でも、一宮市や名古屋市などの安い自治体に比べ、最も高い新城市では3倍以上の差があり、まさに「地域格差」となっているのが現状です。

新城市に住む人は…。
新城市民:
そんなにどうして違うのかしらと思った。
水道料金2か月分で7~8000円なんですけど、他の市町村の友達に聞くと高くないというので。ちょっとびっくりですね。
人口少ないし仕方がないことかなとは思います。
■地域格差について専門家「拡大せざるを得ない」
水道事業などを研究をする名古屋市立大学の原田峻平准教授に、水道料金の「地域格差」について話を聞きました。
原田峻平准教授:
人がすごく広い範囲に住んでいるような地域だと、水道管の投資にすごくお金がかかることになる。特に市町村合併で地域が広がっているような場合はその分コストがかかるのでそれに合わせて料金も高くなる。
その上で、地域によって水道管の老朽化対策や耐震化などの投資が追いついていない現状を挙げ、今後も水道料金の値上がりそして地域間の格差拡大は避けられないのではと話します。

原田峻平准教授:
水を作って配っていうところのコストで既に差が生じているのに、それを更新投資までしっかりやっていこうとするとその差は拡大せざるを得ないと考えます。
(東海テレビ)