最近は、全国的に気温が上がり、夏日や真夏日を記録する日も増えているが、今年は、冬に流行する感染症が、今尚、流行している。また、「リンゴ病」の感染が全国的に拡大していて、猛威をふるっている。

なぜ?季節外れの「感染性胃腸炎」

福岡市城南区の小児科「せき小児科・アレルギー科クリニック」。この日も、朝から具合の悪い子供を連れた母親が次々と訪れる。「元々、ちょっと風邪をひいていたが、吐き気が出てきたので、診てもらいに来た」。

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別の母親は、「咳や喉の痛みに加え、鼻水も出る」と子供の症状を話す。風邪のような症状を訴える子供たち。実は今、一般的に冬に患者が増える『感染性胃腸炎』が、季節外れの流行を続けていると「せき小児科・アレルギー科クリニック」の関真人院長は話す。

ノロウイルスやアデノウイルスなどが原因で起こるウイルス性の「感染性胃腸炎」は、腹痛や嘔吐、発熱などの症状が現れ、接触感染によって流行する。

気温が上がり、本格的な夏を間近に控えたこの時期でも、1日に数人は患者が来院すると関院長は話す。「当院の感覚としては、爆発的な流行ではないが、ずっと続いている感じ。ウイルス感染に対して特効薬はないので、整腸剤を飲んで、水分をしっかり補充。症状が非常に強ければ点滴をすることもある」と対処療法が治療の基本とのこと。

取材に訪れた日も、クリニックには、「前日の夜から急に嘔吐しだした」という女の子が、診察を受けていた。「深夜、突然、布団に吐いて…。その後、寝たものの、今朝起きてまた、5回くらい吐いた。胃に吐くものはないのに、ずっと吐き続けていたので、急いで病院に連れて来た」と病状を説明する母親。関院長は、「感染性胃腸炎、お腹のウイルス感染が流行っている」と伝えた上で、女の子に脱水症状が見られるため点滴することになった。

関院長は、ウイルスの感染力が強いので、患者の周りにいる人も注意が必要と話す。「経験でも“家族全滅”、家族の中で次から次へと感染していくことも多いので、とにかく手洗いを徹底することが一番」と注意を促す。

しかし、なぜ、暑くなってきたこの時期まで、ウイルスの流行が続いているのだろうか?

関院長は、患者の発生状況が集団感染ではないため、社会全体の感染予防レベルがコロナ前に戻ったからではないかと話す。「コロナの流行中は、非常に感染予防を徹底していることもあり、その他の感染が、もの凄く少なかった。今は、次から次に、いろいろな感染症が流行しているので、世の中がコロナ前の状態に戻っている感じ」と特別の原因による流行ではないと話す。

「リンゴ病」猛威 過去10年で最多

一方、福岡県内で、警報レベルの感染者数となっているのが、風邪のような症状の後、両頬が赤くなり、手足などに、まだら状の湿疹が出る“りんご病“だ。「全国的な統計で見ても、過去10年で、最も流行っていると言われ、日々の診療でも実感している」と関院長は語る。

福岡県内では、5月25日までの1週間に確認された伝染性紅斑、いわゆる「リンゴ病」の感染者数は、182人で、前の週よりも9人減った。1医療機関あたりでは2.6人と、「警報レベル」の基準となる2人を2週連続で上回っていて、依然として患者数は高止まりしている。

「リンゴ病」は、子供を中心に感染することで知られているが、大人でもかかる可能性があると関院長は、警鐘を鳴らす。「大人は、あまり発疹が典型的に出ないこともあるし、言われているのは、関節痛が強くなることがある。妊婦が感染すると、流産のリスクや胎児水腫、赤ちゃんの全身がむくむリスクがあるので、リンゴ病が流行っている時期は、一般的な感染予防をしっかりと行うこと」。

福岡県は、こまめな手洗いやマスクの着用など、感染対策をとるよう呼び掛けている。

(テレビ西日本)

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