沖縄戦の歴史認識を巡り「自虐史観」や「むちゃくちゃな教育」などという言説について、伊江島にある反戦平和資料館「ヌチドゥタカラの家」の館長を務める謝花悦子さんは「戦争体験者が語ってきたこれまでは何だったのか」と怒りの声をあげています。
ヌチドゥタカラの家 謝花悦子館長(86):
このような時代を誰が望んだのか、政治家とはどういう仕事なのか怒りは日々大きくなるだけ
伊江島から平和の尊さを訴え続けてきた謝花悦子さんは、戦後80年を迎える中、沖縄戦の実相を歪める言説が飛び交うことに危うさを感じています。
ヌチドゥタカラの家 謝花悦子館長(86):
戦争体験のない世代になっていることが戦争体験者の事実を知らないだろうという事は理解できるけれども、このような発言や見方や考え方が出てくるとは夢にも思わなかった
謝花さんが館長を務める反戦平和資料館「ヌチドゥタカラの家」は、戦後、アメリカ軍による土地の強制接収が行われた伊江島で、土地の返還運動などをけん引した阿波根昌鴻さんが開いたものです。
非暴力に徹し「沖縄のガンジー」と称された阿波根さんは、101歳で亡くなるまで平和の尊さを訴えました。
阿波根昌鴻さん(1985年):
日本の平和憲法を世界の平和憲法に作れという事が私たちの今の目標
ヌチドゥタカラの家では、阿波根さんの膨大な資料を展示、音声テープには阿波根さんのメッセージが込められています。
阿波根昌鴻さんの肉声:
我々は平和に幸福に暮らすと信じているのであります
阿波根さんが後世に託した思いを今こそ多くの人に知ってほしいと、謝花さんは訴えます。
ヌチドゥタカラの家 謝花悦子館長(86):
間違った意見も見方も考え方も出てくるのは当然だと思っています。それを見逃すのではなくて、一緒になって、この考え方は通らないよと。なおしていかないといけない義務があるんじゃないかと思っている
悲惨な戦場を生き延びた1人として歴史の教訓に向き合ってほしいと謝花さんは言葉に力を込めました。
ヌチドゥタカラの家 謝花悦子館長(86):
命に勝るものはない、思想を越えて時代を超えて、武器の無い時代をつくってもらうために命がけの人生であってもらいたいと常に願っているところです