2025年5月14日に航空自衛隊の練習機が愛知県犬山市の入鹿池に墜落した事故で、隊員2人の捜索が16日、最大規模で行われました。池の中は泥の巻き上げが酷いため難航していて、「水中ドローン」も活用した捜索が続いています。

■墜落前に異変伝える交信なく…隊員2人に何が起こっていたのか

墜落した航空自衛隊T4練習機に乗っていたのは、第5航空団所属の井岡拓路1等空尉(31)と網谷奨太2等空尉(29)で、未だ安否がわかっていません。

2人はベテランと中堅の操縦者で、井岡1尉は1170時間、網谷2尉は480時間という飛行経験がありました。

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T4練習機は14日午後3時6分、航空自衛隊小牧基地から一旦北上しました。およそ1分で高度1400mまで到達していて、この時点ではまだ管制との交信があったといいます。

そして、宮崎県に向かうために右に大きく旋回した後、入鹿池に墜落しました。

15日の会見で航空幕僚長は、墜落前に異変を伝える交信はなく、緊急事態の宣言も確認されていないと明らかにしています。

内倉浩昭航空幕僚長(15日午後):
特に異変を伝えるような交信はなかったものと承知しております。緊急状態の宣言ということについても、確認されておりません。緊急脱出装置が作動した際に、自動的に発報する緊急信号やビーコンが確認されていない。

また、中谷防衛大臣は16日午前、墜落したT4練習機のエンジンと推測されるものやタイヤなどを、15日の捜索で発見したと明らかにしました。

中谷防衛大臣(16日午前9時半過ぎ):
昨日の捜索の中で発見されたものでございますけれども、エンジンと推測されるもの、機体らしきもの、タイヤを確認したところであります。(Q.機体らきしものとは?)非常にバラバラになっているものが多くて、それぞれ一部が発見されている。

■泥の巻き上げ等で難しい捜索…「水中ドローン」も活用

墜落事故から丸2日がたった16日、事故発生以降で最大規模となる680人態勢で、範囲を広げて捜索が行われました。

しかし、潜った警察関係者によると、泥の巻き上げがひどく、一回潜ってから出て、時間をたってから潜ることの繰り返しとなっているということです。

深い所で水深17mの入鹿池で行われているのは「水中ドローン」による捜索です。

水中ドローンとは、船の上などから遠隔操作で操縦し、リアルタイムで映像を送ったり、写真を撮影する機材のことです。

愛知水中ドローン事業協同組合の増田浩三理事長:
うちも所有しているんですけれども、プロペラが8機付いた重量が4.5キロの水中ドローンになります。

今回の捜索で使われているのは、水中ドローン「CHASING M2」で、深さ100メートルまで潜れ、機材をつけると破片を取り出すこともできるといいます。

水中ドローンはこれまで、ダムや貯水池で使われることが多かったといいます。

愛知水中ドローン事業協同組合の増田浩三理事長:
消防機関が初日から水中ドローンを活用された事例は、まだまだ日本国内では少ないと思うんですけれども。潜水隊が入る前に、初期捜索で活用したのではないかと思います。

17日以降も続く捜索で、機体がどこにあるのか、水中ドローンの活用が続きます。

(東海テレビ)

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