東日本大震災からの復興支援の一つとして整備された「みちのく潮風トレイル」。全長1000km超のロングトレイルのうち、約77kmのコースが岩手県大船渡市内に設置されている。自然の絶景や地元の人々とのふれあい、海の幸など、大船渡の魅力を存分に楽しめる。山林火災の影響を乗り越えながら、地域の人々は変わらぬ魅力を発信し続けている。
碁石海岸の絶景を楽しむトレイル
リアス海岸の絶景を楽しみながら変化に富んだ自然を満喫できる「みちのく潮風トレイル」。
北は青森県八戸市から南は福島県相馬市までの全長1000kmを超える壮大なルートだ。
その中で、岩手県大船渡市内には約77キロのトレイルコースが設置されている。初心者でも楽しめる碁石海岸沿いのコースは、豊かな森と青い海を体感できる絶好の場所となっている。

大船渡市観光物産協会の村上航さんは、「季節によって景色が変わってくるので、そういう楽しみ方もある。歩きやすいコースではあるけど場所によっては大変なコースもある。事前に服装や水分補給(の仕方)を知っておくと、いざというときに助かる」と、トレイルを楽しむコツを教えてくれた。
コース上にある「碁石椿園」は、市の花に指定されているヤブツバキをはじめ、様々な色のツバキが楽しめる憩いの場だ。
園内には、東日本大震災からの復興を願い、日本各地から寄贈されたツバキも植えられている。
山林火災の影響と復興への願い
2025年2月に発生した大規模な山林火災により、大船渡のトレイルコースの一部が被害を受けた。環境省と市が調査を行い、4月25日現在も一部区間の通行が制限されている。

村上さんは、「被災した綾里半島の約25km区間を今通行不可にしている(4月17日時点)。また情報が変わってくることはあると思うが、それ以外のみちのく潮風トレイルのルートは問題なく歩ける。『火災があったから行けない』ではなく、ぜひ多くの人に来ていただきたい」と話す。
絶景スポットと地元体験
碁石海岸の中でも特に美しい景観を誇るのが、雷岩・乱曝谷展望台だ。
村上さんは展望台からの眺めを指さし、「見てください。この水平線を」とその美しさを強調する。

雷岩は、岩に当たる波により雷のような音が聞こえると言われており、自然の壮大さを体感できるスポットとなっている。

大船渡の「みちのく潮風トレイル」では、地元の人々との触れ合いや様々な体験ができるのも魅力だ。碁石海岸レストハウスでは、塩漬けされたワカメの茎と葉を分ける「芯抜き」作業を体験できる。

山林火災のワカメへの影響について、碁石海岸レストハウスの村上淳さんは「(出荷の)出遅れはあったが、だんだん追いついてきている状況。心配なくことしもおいしいワカメを皆さんの食卓に届けられると思う。ぜひとも地元(大船渡)のものを、商品を買っていただきたい。そういうことが非常に励みになるし一番の応援ではないかと感じている」と話す。
ワカメの芯抜き体験は9月頃まで楽しめるが、事前に電話での予約が必要だ。
地元の海の幸を堪能
トレイルを楽しんだ後は、大船渡の海の幸を味わうのがおすすめだ。地元の人々にも人気のお食事処「岬」では、地元の食材をふんだんに使った海鮮ラーメンや海鮮丼が人気メニューだ。

三倉茉裕子アナウンサーは海鮮丼を堪能し、「イカは白くて透き通っていて、弾力があって噛みごたえがあるけれど、柔らかくて甘さが口の中で広がっていく。マグロは脂がのっていて口の中でサッと溶けて柔らかい」と、その美味しさを絶賛。
碁石岬から眺める三陸の絶景
最後に訪れたのは、お食事処「岬」から歩いて3分の碁石岬だ。ここからは三陸の絶景を一望することができる。

自然・人・食べ物をたっぷり堪能できる大船渡の「みちのく潮風トレイル」。
村上航さんは「山林火災があったけど大船渡にはもっと魅力的なコースもたくさんあるので、ぜひ楽しみに来ていただければと思う」と語った。

みちのく潮風トレイルを通して、歩くことで見えてくる自然の美しさや人々の営みを体験し、大船渡を満喫することができる。
地域の人々の思いが詰まったこのトレイルは、大船渡の魅力を再発見する絶好の機会となるだろう。
(岩手めんこいテレビ)