天気にまつわる疑問に気象予報士が回答する「天気のギモン」のコーナー。今回のテーマは「梅雨入りはいつ?今年も猛暑?」です。
北陸の梅雨入りは?
<村田光広気象予報士の解説>
まず天気図を見ると、前線が南の海上に延びている影響で、沖縄は曇りや雨の日が多くなります。沖縄の梅雨入りの平年は5月10日で、間もなく梅雨入りとなりそうです。
北陸地方の梅雨入りはというと平年は6月11日、2024年は6月22日でした。今年はいつになるかというと、月日を特定することはできませんが「6月中旬から下旬」になりそうです。平年並みかやや遅くなると予想です。
北陸での梅雨入りが遅くなると予想されている理由は、遠く離れた海の温度にあります。それは、インド洋熱帯域の海面水温です。現在、海水温は平常に近い状態ですが、今後はやや低くなると予想されています。梅雨前線は、太平洋高気圧が勢力を強めることで北上するのですが、インド洋熱帯域の海面水温が低い時は、夏の前半に太平洋高気圧の勢力を抑制する力が働きます。このため西日本の梅雨入りは平年並みとなる一方、北陸や東北はやや遅くなる傾向があります。このため、福井での梅雨入りは「6月中旬から下旬」と予想とします。
梅雨入り前でも大雨に注意
梅雨前線が北陸付近に停滞すると梅雨入りとなるのですが、現在は南の海上にあります。しかし、ずっと南の海上に停滞しているわけではなく南北に移動します。5月中旬から下旬にかけては前線が一時的に北上することがあります。
2024年5月28日、梅雨前線が一時北上して活動が活発となり、福井県内は大雨となりました。降り始めからの雨量は、大野市九頭竜やおおい町で100ミリを超え、大野市に大雨警報が発表されました。列車の遅延や運休といった交通障害も発生しました。このように梅雨入り前から大雨になることがあります。
5月は全国的に気温が平年より高めの予想となっているため、雨の源となる暖かく湿った空気が流れ込みやすくなっています。前線の動きによっては、梅雨入り前から大雨になることがありますので、大雨の情報などがある場合は注意してください。
夏の暑さは?
続いて、夏の暑さについて。今年も猛暑が予想されていますが、これも、ある場所の温度が関係しています。それは、フィリピン近海の海面水温です。フィリピン近海の海面水温が高いため、海上で対流活動が活発となります。これにより積乱雲が発達し上昇気流が強まるため、その近くで下降気流が強化されます。ちょうど太平洋高気圧のある場所で下降気流が強まるため、太平洋高気圧の勢力が強まるのです。このため、猛暑が予想されています。暑さへの心構えをしておく必要がありそうです。