約14億人のカトリック信徒の頂点となるローマ教皇を決める選挙「コンクラーベ」が、7日からヨーロッパのバチカンで始まります。

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緊張感が続く中、国民の約8割がカトリック信徒といわれるイタリアのマッテオ・レンツィ元首相が、アメリカのトランプ大統領に対して、「信者を怒らせ、教会を侮辱する画像だ」とSNSに怒りの投稿をしました。

怒りの原因となったのは、トランプ大統領が自身のSNSに投稿した画像。
トランプ大統領がローマ教皇に扮しており、AIによって生成したとみられます。

ニューヨーク州カトリック司教団の代表機関も、この画像には「大統領閣下、この画像は
うまくも、面白くもありません」
とコメントしました。

批判が殺到したためか、トランプ大統領は自身のSNSやホワイトハウスの公式Xに投稿したにも関わらず、「自身は関与していない」と主張しました。

トランプ大統領:
私は関係ない。誰かが教皇の格好をした画像を作り、インターネットに投稿した。誰かが面白半分にやっただけだ。問題ない。

舞台裏を描いた映画が人気

日本でも、3月20日から公開されている映画「教皇選挙」が話題となっています。

コンクラーベの舞台裏を描いた内容で、世界中から集まる100人以上の枢機卿たちが、どのようにして選挙を行い、教皇を決めるのか。その課程を知ることができます。

週末映画ランキングでは、6週連続でトップ10入りを果たし、興行収入は6億7000万円を突破。

6日に劇場を訪れると、実際にコンクラーベがこれから行われることも影響しているのか、「教皇選挙」の席はすべて予約済を示す“赤色”に染まり、ロビーには満席の張り紙が貼られていました。

枢機卿の投票によって決まる、次期教皇。その票をめぐっては、派閥などの間で、水面下での駆け引きが行われることもあるとされています。

映画の中でも、枢機卿たちが、「勝つには…」「コンクラーベだ。戦争ではない」「戦争だ!」と言い合う場面があり、この駆け引きも多くの観客を引きつけているといいますが…。

それは、7日から始まるコンクラーベでも。

イタリアのコッリエーレ・デラ・セーラ紙は、有力候補とされるイタリア出身のパロリン枢機卿が病気だとするフェイクニュースが拡散されたことにより、バチカンの教皇庁が病気であることを否定したと報じました。

さらに、別の有力候補がジョン・レノンの「イマジン」を歌う動画が拡散。
イタリアの地元紙は、イマジンの歌詞にはカトリック信徒が信じる天国を否定するような内容などがあり、動画が次期教皇の座を危ういものにしていると指摘しました。

キリスト教学に詳しい東京大学の山本芳久教授は、今回のコンクラーベとそれを取り巻く報道についてこう話します。

東京大学 山本芳久教授:
コンクラーベが始まってしまうと枢機卿たちは外部から遮断されてしまうので、直前のタイミングで彼ら(有力候補)の考え方に賛同しない人たちが仕掛けてきたのだろうと思われます。
元々教皇選挙というのは、「教皇としてコンクラーベに入る者は、枢機卿として出て行く」という格言みたいなものがあって、野心を見抜かれたり、また事前に非常に有力だと言われていた人が選ばれないと。前回の教皇フランシスコも、日本のメディアで彼を有力候補に挙げているところがひとつもなかったともいいます。世界的に見ても10人くらい候補を挙げるときに、彼を挙げている人はほとんどいなかったと。
思いがけない人が選ばれることが多いのだということを意識することが大切です。
(サン!シャイン」5月7日放送)