福井市の一乗谷朝倉氏遺跡の南西に位置する鹿俣町では、県の無形民俗文化財に指定されている伝統行事「したんじょう」が行われました。
「したんじょー!したんじょー!」
したんじょうは、戦国時代に田畑を荒らすイノシシを退治した大名行列を模した行事で、大名行列の最後尾には、木の枝で作られたイノシシが引き連れられています。
吉田圭吾アナウンサー:
「したんじょうという言葉は、大名行列が通る際に地域の人に頭を『したにーしたにー』と呼びかける声がなまったものと言われています」
参加した約20人の子どもたちは、墨でひげを描き威厳ある大名を演じながら町内を練り歩きました。
鹿俣町の文化保存会によりますと、この”したんじょう”は約550年続いているといいます。長年、したんじょうに携わる地域の70台の男性は「わたしら子供の時は準備も含めて子供らだけでやった。70年ぐらい前は子供はたくさんいたが、今は少ない」と話します
70年前の映像はありませんが、1980年代の映像が福井テレビに残っていました。
映像を見た70代の男性は「(当時は)そりゃ楽しかった。ゲームがあるわけでもなく、ソフトボールや缶蹴り。そんな時にしたんじょうをやった。長い歴史がある。最後お寺で獅子を壊すのが最近変わった事。昔はくたくたになるまでぶつけた。壊れるまで…。でも来年も使わなあかんから今はそこまでやらない(笑)」と懐かしそうに話してくれました。
5日行われたしたんじょうでは、鹿俣町内を約40分かけ巡りました。
孫が参加しているというおばあちゃんは「普段は違う地域に住んでいるが、里帰りがてら参加した。続けていくことに意義がある」と来年以降にも期待を込めました。また、殿様役の子どもは「いつもと靴とか服装が違うので歩くのが思ったより大変。他の地域では、やっていないところも多いので嬉しい」と話します。
最後は、時代を反映してか、暴れまわるよりも木に優しくぶつかるイノシシを大名に扮した子供たちが木の棒で叩き、殿様が刀で仕留め退治していました。