管理職になることが、ある意味で「罰ゲーム化」している日本社会の中で、さらに男女間でみていくと、結婚や出産などライフステージの変化が大きくある女性は特に影響を受けているという。

組織・労働をテーマに調査や研究を行うパーソル総合研究所の小林祐児さんの著書『罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法』(集英社インターナショナル)から、なぜ女性からするとさらに罰ゲームなのか。そんな現状でもなぜ管理職のなり手が現状いるのか、を一部抜粋・再編集して紹介する。

覚悟する男性、退避する女性

管理職は「特に誰にとって『罰ゲーム』に見えるのか?」という視点について、さらに解像度を上げてみると、「罰ゲーム化」のさらなる悪影響が見えてきます。

会社のメンバー層の中で「罰ゲーム」の状況に最も影響を受けるのは、他でもない「女性」です。

ここまで見てきた管理職の負荷をめぐる状況の多くは、性別に限らず一般的に起こっている現象です。しかし、それでもこの「罰ゲーム化」現象は、男性よりも女性の活躍をより阻むことになります。

なぜでしょうか。

女性管理職の比率を上げてきたが…(画像:イメージ)
女性管理職の比率を上げてきたが…(画像:イメージ)
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86年の男女雇用機会均等法施行から40年近くが経過し、「女性活躍推進」の名のもとに、企業は自社の女性管理職の比率を上げるための施策を様々に実施してきました。今、注目が集まる人的資本開示の中でも、ジェンダー・ギャップの指標開示は大きなポイントの一つです。

そこでも「女性管理職比率」は極めて重要な指標になっています。しかし、「罰ゲーム化」した管理職は、職場のジェンダー・ギャップ縮小の大きなハードルになってしまうのです。

女性の意欲の問題ではない

今、女性活躍を課題に掲げる企業に話を聞くと、企業は口をそろえて「女性に意欲が無いので困っている」と言います。

管理職の女性比率は会社によって違いますが、パーソル総合研究所の「女性活躍推進に関する定量調査」でも、あらゆる段階の企業に共通して見られたのがこの男女の意欲格差の問題でした。

企業の昇進レースから、女性の側から徐々に抜けていき、いざ数少ない女性候補者を登用しようとしても、本人から断られてしまって打つ手なし…。

日本企業の女性活躍は、このようにして行き詰まります。