和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで飼育されていた、パンダ4頭が全て中国に返還されるというニュースは地元だけではなく、日本中に大きな衝撃をもたらした。

関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した、政治取材歴30年以上のジャーナリストの鈴木哲夫氏は、パンダ返還の背景について、和歌山選出の衆議院議員だった、二階俊博自民党元幹事長が、「日中外交の“超大物”だった。引退が大きな意味を持っている」と指摘した。

■「アドベンチャーワールドの30年は異常」自民党・二階氏は「日中外交の“超大物”」
パンダが返還された理由と、再び和歌山に帰ってくるかどうかについて、鈴木哲夫氏は二階氏の
ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:二階さんはもちろん、和歌山=二階さん。二階さんはやっぱり日中外交の“超大物”だったんですね。逆に言うと中国からすると、それこそ日中国交回復をやった田中角栄さんに次ぐぐらいの、二階さんは、もうとにかく(超大物)。二階さんがよくほら、日本の企業のメンバー200人ぐらい連れて、中国行ったりしてたじゃないですか。だから中国にしてみれば、やっぱり二階さんはものすごく大事な人だった。

(Q.だからアドベンチャーワールド?)
ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:僕は最初の発端はちょっと分からないけれども、長く続いたのはそうだと思います。だって30年って異常。だからそういう意味で、すでに二階さんは引退しましたよね、そうすると中国としては、なんて言うのかな、『次の二階さんは誰なんだ』と。『一旦ここで引こう』と。ということで、パンダを引き上げた。昔から“パンダ外交”って言われて、1950年ぐらいからやって中国がパンダを使って。
青木源太キャスター:日本だけじゃなくて、対アメリカでも、対ヨーロッパでもですね。
ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:これってやっぱ人気があるから使える訳でしょ。だから逆に言うと1回ここは引いて、『さあ日本よ、次は中国と誰が中心になってちゃんとしっかり関係を作るんだ』と。
青木源太キャスター:二階さんは引退していますから、次のそういう立場の人が中国政府と折衝することになりますね。
ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:そういうふうに一旦、引いたんじゃないかと。これ中国担当の外務省のOBの人がそういうふうに言っていました。

■和歌山にパンダは戻ってくる?「可能性はある!」
青木源太キャスター:(二階さんの)次の有力候補はいるのですか?
ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:ちょうどきのうから、日中友好議連のメンバーが、中国へ行ってるじゃないですか。
(Q.日中友好議連のトップは?)
ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:森山幹事長ですよ。でも森山さんも、じゃあ中国がものすごく森山さんと今まで関係作ってきたかというと、そうでもないので、中国はその辺をしっかり見極めて。だからこれで全部終わりっていうんじゃなくて、その辺も見極めながら『次にどうしようか』。例えば、和歌山にまた戻すかどうかも含めて。
森山幹事長は鹿児島出身ということで、「今後は鹿児島にパンダが?」という話がスタジオでは出ましたが、鈴木氏は「和歌山にパンダが戻ってくる可能性も、ないわけではない」と話した。
ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:中国は“縁”とか“恩”を大事にするから、『二階さん、そこまでやってくれたんだから』っていうのは、どっかにある可能性もある。だから期待は、多少はまだ持っててもいいのかなっていう…取材では、そんな感じです。

■日本は中国との関係どうする? パンダ外交で「踏み絵」!?
もう1つ、パンダが引き上げられる理由があるという。
ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:まさに今、世界中が揺れてるトランプ関税ですけど…。
青木源太キャスター:これにもパンダが関わってくるんですか?
ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:これも外務省のOBの取材をしたんだけれども、中国とアメリカが今すごいやってるでしょう。日本ももちろん行きますよ、だけど中国とアメリカがすごいやっている。もう二大大国でやってるわけですよ。
ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:そうするといろんなことを今やり合っているけど、中国にしてみると『日本よ、あなたどっちを大事にするんだ』と。アメリカの方にべったり行くのか、それとも例えば中国と貿易なんかもやっていくのか。『さあ日本どうすんだ』なんていう…
ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:ある種、アメリカと中国の対決の中で、日本に“踏み絵”とは言わないけど、その辺もちょっと見極めるというか、そんな思惑もあるんじゃないかと、その外務省の専門的なOBは言ってたけども。

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年4月28日放送)