駅と中心市街地が離れている都市で、いかにして賑わいを作り出すか。そのひとつの挑戦が宮崎市で始まっている。複合商業施設のオープンに合わせて、歩道と自転車道の再整備や、国の「ほこみち」制度の取り入れで、「歩きやすい街」=ウォーカブルシティを目指している。

宮崎駅と中心市街地の間に「HAROW」開業

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宮崎市の中心市街地の地図を見ると、交通の要所である「宮崎駅」と、宮崎山形屋を含む商業集積地の「橘通り」が離れていることがわかる。歩くには、少し距離があるという印象だ。

4月18日、宮崎駅と橘通りの中間に、複合商業施設「HAROW」がオープンした。多くの車が行き交う高千穂通り、歩行者向けの広島通り、それぞれの通り沿いに面している。商業集積地の橘通りと宮崎駅やアミュプラザ、若草通り、あみーろーどをつなぐような場所に、新たな”にぎわいの拠点”ができた。

この「HAROW」が、県や宮崎市が目指す歩きたくなる街「ウォーカブルシティ」実現の追い風となるのか。実際に歩いて街中の変化を調べてみた。

早瀬純哉記者:
まずは宮崎駅前にやってきた。これから「HAROW高千穂通」まで実際に歩いて、どのくらいかかるのか、どういう雰囲気になったのかを調べてみる。

その距離、約500メートル。ビルや街路樹のクスノキによって影もできるため、日差しの強い日でも歩きやすい空間だ。

早瀬純哉記者:
私が歩く速さで、宮崎駅からHAROW高千穂通までは約6分ということが分かった。意外と近い。

大きく変わったのは目の前の“歩道”。これまで歩道に挟まれていた自転車通行帯を車道側に出すことで、安全性が確保された。

国の「ほこみち」制度を県内で初導入

さらに、歩道にテラス席の設置やキッチンカーの出店などもできる「ほこみち制度」も県内で初めて導入された。

県宮崎土木事務所 長瀬大輝技師:
ただ通るだけじゃなくて、空間として賑わいが創出できる場所になればいいなという思いで整備された。

この日は午前中から、高千穂通り側の施設の前にあるテラス席でくつろぐ人たちの姿が見られた。

利用者:
すごく開放感があって気持ちいい。

学生:
うれしい。あまり遊ぶところがないので、こういう施設がたくさん出来てほしい。

歩行者:
宮崎駅の方から来た。テラスに人がいて気になった。道が広くなった印象で、安心して子どもと一緒に通れる空間になった。

宮崎県は2028年までに、宮崎駅前から橘通交差点までの700メートルすべてで、歩道と自転車通行帯の再整備を行う予定だ。宮崎土木事務所の長瀬技師は、「歩道が連続して駅に向かってまた戻ってくるという空間ができれば、街全体として賑わいができる。県内・県外から人が来るような場所になれば。」と話している。

飲食店で賑わう「HAROW広島通」

お昼時、特ににぎわっていたのは、「HAROW広島通」 こちらは2024年に先行開業していたが、グランドオープンに合わせて8店舗が加わり、15店舗となった。

早瀬純哉記者:
広島通りに来ている。ドーナツ屋さんに行列ができていたり、スーツを着たビジネスマンが多く見られるなど賑わっている様子。

昼休みにランチに来た人は…。

ランチに来た人:
最高。この辺りは飲食店がなかった。和洋中、その日に応じて食べられるのは非常にいい。人が増えるでしょう。

利用者が求めることは?

「HAROW」や歩道の整備で街の人たちからはにぎわい創出への期待の声が聞かれた。

これからの中心市街地に求めることは…。

学生:
通学中に立ち寄れる場所が増えたらいい。

利用者:
駅から街中までは遠いなと思うが、こういう商業施設が増えれば距離感が良くなるんじゃないかな。遠いのが良いってなるのかなと思う。

利用者:
お店の雰囲気。一人で行っても他の人と交流が持てる場所が増えると、よりいい。

一方で課題を投げかける人も

歩行者:
駐車場が課題。遠くから来て、ここをわざわざ歩こうと思うのであれば、停めやすい駐車場があって、歩いた先に休める場所があって、という形ではないと、いってどこに停めようかと迷って疲れる。

県宮崎土木事務所 長瀬大輝技師:
実際に歩道が整備されていくことで、ここの機運が高まって連続して、他の企業が店舗を置きたいというような機運が高まれば。

宮崎県では2年後の2027年に国スポ・障スポが開かれ、多くの人が訪れる。宮崎の玄関口となる高千穂通りについて、宮崎市は今後も周辺の事業者などを集めて勉強会を開き、「ほこみち制度」の活用などを検討していきたいとしている。

(テレビ宮崎)

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