鹿児島県日置市を拠点に活動するバレーボール・Vリーグのフラーゴラッド鹿児島。
発足から4年が経過した今、鹿児島を代表するスポーツチームとしておなじみの存在となったそのチームを支えてきたのが川畑俊輔GMだ。地域密着を掲げ駆け抜けた4年間、そして急成長を遂げるチームの未来をどう描いているのか?上片平キャスターが取材した。

ファンサービスが人気のフラーゴラッド

体育館前にできた長蛇の列。フラーゴラッド鹿児島のホーム戦ではすっかりおなじみの光景だ。
場内では映像を使った演出や地元高校生によるパフォーマンスも。試合後には選手たちが最後までファンサービスを行う。

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ファンサービスが充実!
ファンサービスが充実!

訪れたファンは「試合がすごく盛り上がるので見ていて楽しい」「もっと成長していくと思うので、それをずっと見届けていきたい」と、会場が一体となって盛り上がり、選手との距離も近付くファンサービスを喜んでいる様子だ。

ホームゲームのコーディネートもGMの仕事

「おはようございます!」と、準備中の関係者に元気に挨拶をするのは、地域に愛されるフラーゴラッド鹿児島の鍵を握るGM、川畑俊輔さん(35)だ。

この日行われたのは2024-25レギュラーシーズンの最終節。訪れたファンに楽しんでもらえるか。安全に試合が行われるか。ホームゲームのコーディネートもGMの仕事だ。

川畑さんは会場を周りながら「すごく混むと思う。導線的に(いすは)ないほうがいいかも」「こちらで室内履きに履き替えをお願いします。慌てずにゆっくりお入りください」など、細かいところまで声をかける。いわば裏方だが、川畑さん自身も来場者にサインを求められるなど、選手に負けず劣らずの人気だ。

GMもサインを?と聞かれ照れ笑い
GMもサインを?と聞かれ照れ笑い

2024-25シーズンのホーム戦に訪れたのは1試合平均で828人。
Vリーグ全18チーム中2番目に多い数字だ。

川畑さんは「試合を見に来ているというよりも、一緒になって何かを共有したいという思いで来てくださっているのでありがたい」と語る。

「地域みんなで応援できるようなチームを!」

鹿児島商業高校時代、元々は選手だった川畑さん。3年時から大学にかけてマネージャーとしてチームを支え、卒業後は県内の強豪、川内商工高校男子バレー部でコーチを務めた。

そんな川畑さんが中心になり、2021年に発足したのがフラーゴラッド鹿児島だ。

「バレーボール熱の高い鹿児島県で、子供からお年寄りまでみんなが応援できるようなチームを目指して、地域活性化もしていきたい」と、チームが目指す方向性について川畑さんは話す。

その言葉の通り、地域に根ざした活動を展開し、小中学生を対象にしたバレーボールスクールや、朝のあいさつ運動、イベントへの参加、数々の「地域密着」の取り組みの結果、ファンは着実に増えていった。   

普段、川畑さんが働いているのはホームタウン日置市にある事務所だ。

地域密着に取り組む傍ら、チームの強化やVリーグとの連携、遠征時の宿泊や移動手段の手配まで川畑さんがフル稼働で行う。

2024年の暮れ、川畑さんがいたのは鹿児島市の志學館大学。スポーツ産業を学ぶ学生の授業の一環で、ホーム戦を盛り上げる企画を一緒に考えていた。

川畑さんが「皆さんに考えてもらった企画を、1月のホームゲームで実際にやっていただく」と提案すると、学生も「選手の素顔を知られたら好きになる。『この人面白いんだな』みたいな」と、アイデアを出し合った。 

大学生とアイデアを出し合い企画を検討
大学生とアイデアを出し合い企画を検討

試合当日。
会場では朝から学生たちが集まって設営をしている。彼らが考案した企画はファン投票。チラシのQRコードから推しの選手を選んでもらう仕組みだ。

試合はフラーゴラッドが勝利。もちろん会場は盛り上がり、学生たちの企画であるファン投票も大成功だった。

“愛され王”に選ばれた久保田選手と企画した学生
“愛され王”に選ばれた久保田選手と企画した学生

学生とタッグを組んだのには川畑さんの「人と人との関わり、ふれあいが多いホームゲームにしたい。付加価値を付けていくことが地域密着のひとつ。そこは大事にしたい」という思いがあった。

感謝 さらなる高みへ

発足して4年。フラーゴラッドは年々地域との絆を強め、同時に実力もつけてきた。2023-24シーズンは当時のV3リーグに初参戦し初優勝。川畑さんは「地域に愛されるチームになったなと実感しているので、色々な方に感謝したい」と話す。

そして、2024-25シーズン。新たに発足したVリーグでも、フラーゴラッド鹿児島は所属する西地区で24勝4敗の成績をあげてレギュラーシーズン2位につけ、プレーオフではファイナルで西地区1位のヴィアティン三重にフルセットのすえ勝利! 見事、初代王者に輝いた。

訪れたファンはVリーグ優勝に感動し、フラーゴラッド鹿児島は地元が誇る自慢のチームとなった。

急激な成長曲線を描いてきたフラーゴラッド鹿児島。
GMとして支えてきた川畑さんは、チームのこれからをどう思い描いているのか?

川畑さんは「チームの競技力はさらに高めていきたい。それと同時に我々が大切にしてきた『地域』、それから『ファンの方々』の密着度、横展開をもっと広げていきたい。ファンの声、地域の声が届くチーム、それが反映される。一緒になって作り上げていくチームに、より高めていきたい」と、今後の抱負を語った。

地域に愛され、結果も残す。
フラーゴラッド鹿児島は川畑GMとともに、さらなる高みを目指す。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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