国内屈指の酒どころ、福井県に数多く残る歴史的な酒蔵を保存し観光振興に生かそうと県と県酒造組合、県建築士会の3社が連携協定を結びました。
歴史や地域の文化を感じられる場所として「酒蔵」は古くから観光客を呼び込んできました。近年は外国人旅行客にも人気で、2024年12月には日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことから、世界からの注目はさらに高まっています。
17日は県庁で締結式が行われ杉本知事と県酒造組合の水野直人会長、県建築士会の森川清和会長が協定書にサインしました。協定では、まず築数百年もの歴史がある酒蔵の保存に取り組みます。県建築士会は酒蔵の修繕や改修についての助言を行い、県は改修費用の一部を補助します。
また、将来的には酒蔵巡りや試飲会など体験型の観光コンテンツを官民一体となって整備したいとしています。酒造組合の水野直人会長は「例えば永平寺町では酒蔵巡りするバスを町が去年、試験的に運行したが、まだまだ広報不足。今後は酒蔵と観光地をミックスしながら福井の魅力を増やすことを期待している」と話していました。
県は2029年までに、観光客の入込数を2023年の1.2倍にあたる2100万人にする目標を掲げていて、今回の協定締結よる交流人口の増加が期待されます。
観光庁がまとめた、のべ宿泊者数の統計では、福井は2024年1年間で353万7960人で前年から9%増加し、全国6位の伸び率でしたが順位は全国40位でした。このうちインバウンド客は8万9040人で全国で46位となっていて、大きな課題となっています。
ユネスコ無形文化遺産登録で日本酒はチャンスを迎えていて、県酒造組合によりますと県内には32の造り酒屋があり、石川県や富山県よりも多くなっています。新幹線開業2年目を迎え「酒蔵を観光コンテンツに」という取り組みは観光誘客の面で正念場を迎えていて、県にとっては期待も大きくなっています。
“ワイナリー巡り”として世界中から人がやってくるフランスのボルドーやアメリカのカルフォルニアなどのように、県全体で「酒蔵」の活用策を図ることで、福井県が苦手としている外国人旅行客の獲得につながることが期待されます。