コーヒーが飲めない子供でも飲める

2005年に日本で販売されたエナジードリンクは、その後、自動販売機での販売も始まりより身近なものになりました。

中学受験の塾や部活の差し入れとして、親がエナジードリンクを与える。普及とともにそんな話も聞くようになりました。

エナジードリンクを差し入れする親もいるとのこと(画像はイメージ)
エナジードリンクを差し入れする親もいるとのこと(画像はイメージ)

エナジードリンクには、コーヒーと同程度のカフェインが含まれています。カフェインには眠気を抑え、意欲を増進する効果がありますが、子供にとってカフェインが多く含まれるコーヒーは、苦くてなかなか飲めません。「コーヒーはブラックに限るね」なんていう小学生はいませんよね? 

カフェインは本来苦いのです。ところが、その苦さを感じさせないように、甘い味付けをしたエナジードリンクなら子供も飲めてしまう。甘い味で覆い隠してカフェインに慣れさせてしまうのが、エナジードリンクの危険なところです。

一部の子供は市販薬に手を出すように

多くの子供たちはエナジードリンクを飲んだからといってカフェインに依存してしまうわけではありません。しかし、親とうまくいかない、勉強のパフォーマンスを上げなければならないなど、強いプレッシャーを感じている子供たちの一部が、エナジードリンクのカフェインを頼りにするようになってしまうのです。

カフェインを取り続けていくと、体が慣れていき、だんだん同じ量では効果が得られなくなってくるので、量が増えていきます。

エナジードリンクで効果を感じなくなると、一生懸命検索して、カフェイン錠や風邪薬にステップアップしてしまう…。そんな子供たちが一定の割合でいるのではないかというのが、臨床現場での感覚です。

スマホで検索してより市販薬に行きついてしまう子も…(画像はイメージ)
スマホで検索してより市販薬に行きついてしまう子も…(画像はイメージ)

ある咳止め薬には、カフェインの他に覚醒剤の原料や麻薬成分も入っているので、何十錠も飲むとバキバキにテンションが上がります。でも、それもあっという間に慣れてしまう。飲むのをやめると電池が切れたみたいに身動きが取れなくなって、ベッドから身を起こすこともできなくなるので、毎日何十錠も飲まなければならなくなり、それがないと生きていけない状態になってしまいます。

若い時から、カフェインのような化学物質によって気分を変えるという対処方法を学んでしまうと、つらい時に休んだり、人に相談したり、助けを求めたりすることをせずに、化学物質で気分を変えて前に進むようになってしまう。これが薬物依存への第一歩です。エナジードリンクが、その入り口になっているのではないかと思うのです。