コメの価格高騰が続く中、福井市内では早生のハナエチゼンの田植えが始まった。スーパーの店頭には備蓄米のハナエチゼンが並び、直近の平均価格よりも5キロ当たり1000円ほど安価で販売する店も。コメ不足から政府が備蓄米放出までに至った一連の“令和の米騒動”は果たしてこれで終結するのか…

今シーズンの田植えが始まった
今シーズンの田植えが始まった
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広告なしでも「一気に売れた」

福井県内でも8日から店頭に備蓄米が並び始めた。福井市のハニー食彩館やしろ店には、備蓄米の県産ハナエチゼン10キロ15袋が納品されたが「一気に売れてしまった」という。斎藤秀樹次長は「福井の場合はブランドとしてコシヒカリがすごく売れる。この時期はハナエチゼンは買ってもらえるのか疑問があったが、瞬間に近い状態で売れたのは驚き」と話す。

備蓄米は入荷後すぐ売り切れに
備蓄米は入荷後すぐ売り切れに

販売価格は10キロで税込み6500円程度と、直近よりは価格が抑えられているとはいえ、例年と比べると1.5倍。また、広告なども一切していない中での売れ行きに、店としても驚いているという。

備蓄米の売れ行きに店側も驚き
備蓄米の売れ行きに店側も驚き

5キロで1000円程度安く販売

一方、福井市のAコープやしろ店にも10日、備蓄米の県産ハナエチゼン5キロ100袋が入荷。価格は税込み3434円と直近の販売価格よりも1000円程度安く、1人2袋までという条件付きだ。

備蓄米のハナエチゼン5キロ100袋が入荷
備蓄米のハナエチゼン5キロ100袋が入荷

さっそく買い求めた人は「安かった。何もかも物価が上がっているので少しでも…と思い備蓄米にした」と話す。山上剛副店長は「卸も店も企業努力し安価にした。当面、同じ価格で販売する予定」としている。

備蓄米を買い求める客
備蓄米を買い求める客

放出されていない品種は「価格下がる要因ない」

政府は備蓄米を放出しコメ全体の価格抑制を狙うが、山上副店長は「放出されたのはハナエチゼン。それ以外の品種のコメは放出されていないので、価格が下がる要因が見受けられない。新米の時期まで高止まりが続くのでは…」とみている。

Aコープやしろ店の山上剛副店長
Aコープやしろ店の山上剛副店長

市場をにらみ“早植え”

コメ価格の高止まりが続く中、今シーズンの収穫に向け、福井市内の水田で早生のハナエチゼンが田植えが始まった。農家の白井清志さんは独自の販路を持ち市場の動向をとらえ、例年、一般的な県内の農家より2週間ほど田植えをしている。

ハナエチゼンの田植え
ハナエチゼンの田植え

3年先までの契約要求も

2024年夏から続くコメ不足について白井さんは「国はインバウンドや外国人労働者の分のコメは見込んでいなかったと思う。これらを含めると今の生産量では足りないことは明らか」と話す。
    
白井さんの元には、正月あたりから取り引きを求める業者が殺到しているという。「例年よりもかなり多くの業者からオファーが入っている。向こう3年まで契約させてくれという声もある。こういう状況だから」。

3年先まで契約を求める業者も
3年先まで契約を求める業者も

このままでは「コメ不足解消できない」

政府の備蓄米放出については「放出量が少ないので、コメの価格が下がることは期待できない。農業者からすれば、やっとそれなりの農業経営ができるところまできたので、価格が下がったら困る。今までは赤字経営だったから。価格が下がると元の赤字経営に戻る」と苦悩を口にする。
   
コメ不足が今後も続くのかについては「今の減反政策(生産調整)をどう考えるか。“減反”は農家の自主性に任せるということになっているので農業者も考えないといけない。自分で判断しなきゃ。国からお願いされた量を守っているのではコメ不足は解消できない」と指摘する。
   
石破総理は9日、コメ価格の高止まりが続いていることを受け、農林水産省に政府備蓄米を夏まで毎月放出するよう指示した。JA福井県が今後も入札を続けるかどうかは、「現段階では未定」としている。

“早植え”をしている農家の白井清志さん
“早植え”をしている農家の白井清志さん
福井テレビ
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