北陸と関西・中京方面を結ぶ新たな交通網の整備が決定した。国は2025年度、福井と滋賀を結ぶ国道365号のバイパス「栃ノ木峠道路」の整備の事業化を決めた。自然災害や大雪に強く、物流や人流が促進されることも期待されている。
福井-滋賀をつなぐ新バイパス
事業化が決まったのは、南越前町と滋賀県を結ぶ国道365号う回路「栃ノ木峠道路」。南越前町今庄地区から滋賀県長浜市をつなぐ2.9キロのバイパスで、総事業費は約200億円。

大雪や災害で度々、南北が分断
福井県の南越前町を走る北陸道と国道はこれまで、大雪や大雨の影響で何度も通行止めとなり、福井県北部と南部が度々、分断されていた。2022年8月に南越前町を襲った豪雨では、北陸道も国道もすべて通行止めとなり、北陸と関西、中京方面の行き来ができなくなり、実に4日間にわたり分断状態となった。

冬季は降雪量を問わず5カ月間通行止めに
国道365号の県境部に位置する栃ノ木峠は、道幅が約5メートルと大型車がすれ違いづらい。さらに冬のシーズンは、降雪量を問わず約5カ月間、通行止めになる。
自然災害や大雪により南北の分断が繰り返されていることから、県と滋賀県は緊急時の輸送路となるバイパスの建設を検討してきた。しかし、同区間は地盤が弱くトンネルの掘削などに技術的な課題があった。

高度な技術を要するバイパス整備
そこで国は2024年度、直轄での整備に向けた調査を実施。約2.9キロの区間のうち約2.5キロがトンネルになる計画だが、崩壊の危険性もあり高い掘削技術が求められるため、国は直轄での整備を決めた。
このバイパスにより冬でも福井-滋賀間を行き来できるようになるため、災害時の移動手段としても、物流、人流の促進も期待される。

地元の“悲願”だった―
栃ノ木峠道路近くにある今庄365スキー場の支配人は「スキーシーズンの冬に通行止めとなっていた国道365号にバイパスができるのは悲願。滋賀県から訪れるスキー客も増えるのではないか」と誘客に期待を寄せている。
着工や完成時期は未定だが、2025年度は建設に向けた測量が行われることになっている。
