優しいタッチとカラフルなデザインで秋田の自然やシンボルを描くアーティストが秋田市にアトリエをオープンした。見る人にわくわくしてもらえる作品を生み出す場、アートを愛する人たちの交流の場にしたいと挑戦を始めた女性を紹介する。

カラフルでわくわく!アートを身近に

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2025年1月、秋田市中通にオープンした「アトリエ&ギャラリー トランジット」。秋田をモチーフにしたステッカーやポストカードなどのオリジナルグッズがずらりと並んでいる。

イラストレーター・ちべさん
イラストレーター・ちべさん

デザインを手がけるのは、秋田・能代市出身のイラストレーター・ちべさん。ちべさんは仲間と2人でアトリエを運営していて、ここで創作活動や展示販売を行っている。

アートというと敷居が高いイメージがあるが、気軽に家に飾れるとか、身に着けられるとか「もっとアートが身近になったらいいな」という思いで活動しているというちべさん。「カラフルなものが好きなので、色で見る人もわくわくしてもらえたらうれしいなと思って描いている」と話す。

移住きっかけに秋田を描き始める

ちべさんは、能代市の高校を卒業し、東京都内の専門学校でグラフィックデザインを学んだ。卒業後は携帯電話の絵文字などを制作する会社に就職。フリーのイラストレーターに転身した後は、児童書の挿絵や自治体の婚姻届のデザインなどを手がけてきた。

ちべさんがデザインした能代市の婚姻届
ちべさんがデザインした能代市の婚姻届

2年前に子育てをきっかけに秋田市に移住。オリジナルグッズの制作のほか、秋田の自然も描くようになった。

イラストレーター・ちべさん:
山とか水とか光とか空気感とかを表現したくなって描いている。色を見て楽しいなとか、この色は何に見えるかなとか、絵の空気感とかを考えている。

もっと多くの人に作品を見てもらいたいと考えたちべさんは、2024年に秋田空港で個展を開いた。

2024年に秋田空港で開いた個展の様子
2024年に秋田空港で開いた個展の様子

県外の人から声をかけられたり、通りかかった子どもが色を塗る作業を手伝ってくれたりと、思いがけない触れ合いがあったという。

イラストレーター・ちべさん:
鳥海山を描いているときは「これはどこの山?」と県外の人が興味を持って聞いてくれた。なまはげ柴灯(せど)まつりの絵の時も「一般的な怖いなまはげのお面のイメージが多いけど、楽しい感じなんだ」とすごく喜んでもらえた。

アートを愛する人たちの拠点に

秋田空港での個展から約半年後に開業したアトリエ・トランジット。オープンのきっかけにつながった2つの絵がある。

豊かな自然の恵みを表現した鳥海山。

地域ごとに違う表情のなまはげたちの祭りの躍動感。

こうしたふるさとの魅力を捉えた作品を通じて、秋田に関心を持ってもらおうとアトリエを始めたという。

ちべさんたちが目指しているのは、アートを生かした交流活動だ。施設内の創作スペースを提供し、ワークショップを開催するなどしてアーティスト同士が交流したり、作品を発信したりすることを支援する。

「私も描くことが楽しいし、自分の表現ができる人が増えていったらいい。トランジットが交流の場になっていったらうれしい」と話すちべさん。

アートを愛する人たちの新しい拠点に。自らも創作活動を続けながらの挑戦が続く。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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