全国の小中学生による絵画コンクールで、秋田・湯沢市の中学生が約1万点の応募作品の頂点に輝いた。絵のモチーフは思春期真っただ中の自分自身。「絵は自分の全て」と話す中学生の絵にかける思いに迫る。
中学生の揺れ動く心情を表現
1人の中学生が泳いでいる絵。人物の周りにリュウグウノツカイやイチゴが描かれている。

「揺蕩う(たゆたう)」というタイトルがつけられたこの水彩画は、思春期の女子中学生の心の中を表現している。
描いたのは、湯沢北中学校3年の松田弓舞さんだ。

この絵は、小中学生が対象の「全国書画展覧会」の画の部に出品され、応募総数1万238点の中から最高賞となる内閣総理大臣賞を受賞した。
「まさかと思った。大きな賞をもらって自分の自信につながった。賞を受賞したことでモチベーションが上がっていくと思う」と話す松田さん。「揺蕩う」は2カ月ほどで完成させたという。
審査員からは「タイトルからも思春期の中学生の揺れ動く心情が伝わってくる。表す形や色彩なども整理されていて、構成の工夫を感じる」と高い評価を受けた。
モチーフは自分 “目”を象徴的に
絵の真ん中にいる少女は、松田さん自身だ。

松田さんは「自分を真ん中に置くことで、心の中の繊細さだったり、ごちゃごちゃした気持ちを表現した」と話す。受験を前にした不安や、思春期ならではの悩みを抱えながら揺れ動く心の風景を、配色を実物と逆にするなどして表現した。

特に意識したポイントについて、松田さんは「モチーフの目線を象徴的に描いた」と話し、作品を見た人に訴えかけるように“目”を意識して描いたという。
姉の影響を受け絵にのめり込む
松田さんは小学2年生の時に、4歳上の姉が描いているのを見て「絵」に興味を持った。初めて描いたのはアニメのイラストだった。

松田弓舞さん:
バランスがめちゃくちゃでうまく描けなくて、お姉ちゃんみたいにできない絵の難しさを幼いながらに思い知らされた。そこから、自分ももっと努力して成長していきたいと思った。

暇さえあれば絵を描いていたという松田さん。「自分で描いていて絵が完成するのが楽しくて、完成を追い求めてどんどん描いていきたくなる」と話し、絵の魅力にどんどん引き込まれていった。
絵は切っても切り離せない存在
中学校では美術部に入って水彩画や油彩画などを本格的に学び、部長も務めた。
同じ志を持つ仲間と出会ってモチベーションが上がり、「自由に描く」という発想の幅が広がったという。高校、大学でも絵を描き続けていく予定だ。

松田さんにとって、絵を描くことは「第一に楽しいこと。自分にとって切っても切り離せない存在」だという。そして「自分の想像力を高めていくのはもちろんのこと、技術面や自分の考えたことなどの想像力がちゃんと描写できるような力をつけていきたい」と意欲的だ。
未来のアーティストは、きょうもキャンバスに向かって自分の思いを描いている。
(秋田テレビ)