満開の桜。その桜が、実は“消滅の危機”に直面している。一体、何が起きているのか。

”危機”に直面する桜 問題は…

春の訪れを告げる日本の象徴、桜。「“春が来たな”って感じです」「桜は、“日本の象徴”みたいなものですね」「見られる時期が短い分、“見られた時の嬉しさ”がありますよね」と花見に訪れた人の誰もが、見上げた桜に顔を綻ばす。

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そんな桜がいま、“或る危機”に直面している。このままでは、いずれ桜は消えてしまうかもしれないのだ。

桜の名所、福岡・朝倉市の甘木公園。「見て頂けると分かるんですが、幹が空洞化して、もう中がスカスカになっている部分が見受けられます」と1本のソメイヨシノを指差す朝倉市都市整備課係長の冨田豊嗣さん。示されたソメイヨシノには、幹に大きな穴が空き、コケも大量に生えてしまっている。

「老木化してくるとこういうのが進行してきて、最終的にはあんまり花が咲かなくなって、倒木の恐れなどに繋がるような状況です」と冨田豊嗣係長はその原因を説明した。

公園内のほとんどの桜が高齢化

実はいま、全国で「桜の高齢化」が一斉に進んでいるというのだ。幹に大きな穴が空いた樹木や腐敗が進んでいたため大部分を伐採するなど、園内には老木が多いのに気が付く。

桜は、樹齢50年を超えると老木とされる。甘木公園にある約4千本の桜は、ほとんどが老木だという。しかし1本ずつ調査するには莫大な費用と人手が必要となる。

そこで朝倉市が支援を求めたのが、朝倉市にも工場を持つ大手ビールメーカー「キリンビール」。キリンビールは、2024年に発売を開始した商品「晴れ風」の売り上げの一部を活用し、桜の保全活動を目的に全国の自治体を支援している。その一つである朝倉市は、合わせて160万円の寄付を使い、専門家に桜の調査依頼などを行うのだという。

さらにスマートフォンで写真を撮るだけで、桜の“健康状態”や“樹齢”を測定できる「桜AIカメラ」の活用。測定した情報は貴重なデータとして、それぞれの自治体に届けられる仕組みとなっている。

「家族連れの方とか、皆さん桜のもとで楽しんで頂いていますので、これをずっと続いていけるようにできれば、一番、良いのかなと思っています」と冨田豊嗣係長。

花見客や花見客が手にするビールと力を合わせて、朝倉市はこれからもずっと”春の風物詩”を守り続ける。

(テレビ西日本)

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