2023年4月から努力義務となった自転車のヘルメット着用。ただ、2年が経とうとしている現在も着用率は伸び悩んでいる。こうした中、警察が若い世代の力を借りて啓発動画を制作した。
自転車用ヘルメットの着用努力義務化も…
2024年11月、袋井警察署で行われた啓発アニメーションの声優オーディション。

この取り組みに至った理由について、袋井警察署の稲葉龍 交通課長は「努力義務ということで(自転車用)ヘルメットをかぶるよう推進しているところだが、まだまだかぶっていない人が多いのが現状」と打ち明ける。
2023年4月から始まった自転車用ヘルメット着用の努力義務化。

ただ、警察庁が2024年7月に実施した調査では静岡県は13.1%と全国平均を下回っている。
自転車に関わる死亡事故の致命傷として圧倒的に多いのが頭部で、2024年に県内で死亡した14人のうち11人がヘルメットを着用していなかった。
このため、稲葉課長によれば「地元の高校生に声優をやってもらうことで管内の高校生たちにも周知してもらえる」と思い、オーディションを発案したという。
高校生や現役警察官などが“声優”に
オーディションから10日あまり。

合格した高校生や現役の警察官などに委嘱状が手渡され、袋井高校の川﨑桜香さんは「こんな私が選ばれるなんて夢にも思っていなかったので一生懸命頑張りたい」と喜びを口にし、袋井警察署 地域課の塚本紗也さんは「警察官というのもあるし、選ばれた5人の中で最年長でもあるので、みんなをまとめつつ一致団結して広報していけたら」と意気込んだ。
2024年12月。
この日、袋井高校ではオーディションに合格した川﨑さんと柴田麻椰さんが演劇部の後輩を前にセリフの読み合わせを行っていた。

2人は言い回しや表現の仕方などについて意見を出し合いながら練習を重ねていく。
川﨑さんは「誰かの意見を聞かないとわからないこともある」と話し、柴田さんは照れを浮かべながらも「ありがたい」と後輩に感謝すると共に「後輩と一緒に練習して勝ち取った役なので後輩の思いを胸に頑張ってやりたい」と誓った。
初挑戦もテイクを重ね納得いく声を…
迎えたアフレコ当日。
セリフの最終確認を終えると、いよいよ本番だ。

ほとんどが声優初挑戦。
それでも、講師からアドバイスを受けながら何度もテイクを重ね、納得のいく声を引き出し、収録を終えた5人の表情には安堵と共に充実感が漂っていた。
柴田さんは「自分の出せる力を最後まで出し切れたので良かった」と胸を張り、川﨑さんも「すごく緊張したけれど全部撮り終わったので安心している」と肩をなでおろした。
そして、3月16日には関係者に完成したアニメーションがお披露目されると、「交通事故に遭って亡くなってしまう人も身近にいるので、そういう人が1人でも少なくなることを願って参加させてもらったので、その思いがみんなに伝わっていったらと思う」と話したのは川崎さん。

同じくアフレコに参加した茜星りおんさんも「たくさんの人に届けられる動画になってほしい」と期待を込めた。

自転車の事故による死者を1人でも減らすために…袋井警察署では今後も若い世代のアイデアなども参考に、ヘルメットの着用率向上に向けた取り組みを推進していく考えだ。
(テレビ静岡)