広島の山間部、北広島町はスキー場もある自然に恵まれた町だが、「ハルちゃん」という20代の女性が地元の魅力を発信する動画が人気を呼んでいる。神楽が好きで北広島町に来たという「ハルちゃん」を取材した。
独自制作の動画が人気に
北広島町のイメージキャラクター、牛の「花田舞太郎(はなだもうたろう)」とともに、 「レッツらモー!」の掛け声で町に飛び出し、地元の店や観光地をPRする町の観光協会の動画が、SNSでじわじわと人気を集めている。

北広島町観光協会 動画から
「ハルちゃん!きょうはどこに来ているの?」
ハルちゃん:
「そばまつりに来てまーす!!」
この「ハルちゃん」とは一体何者なのか?

「ハルちゃん」こと日下遥(ひのした はるか)さんは25歳。道の駅「舞ロードIC千代田」にある北広島町観光協会の職員だ。「ハルちゃん」は広島市出身で観光に携わる仕事を希望して専門学校を卒業後、観光協会に就職。日ごろは、バスのチケット販売やイベントの準備作業など、動画制作以外の仕事に追われている。動画で発信を始めた理由をこう話す。

「北広島町は、あまり若い人に知られていなく、友人に聞いても『北広島町って何があるん?』って言われてしまうので、少しでも知ってもらおうと」

動画は「ハルちゃん」自ら地元の店や人を、スマホで撮影し、編集もする。独自のスタイルを確立し、クオリティーもどんどん上がっている。
動画取材では自分が目立ち過ぎぬよう
この日は、スイーツ店の取材。

動画の主役はお店の人や商品で、「ハルちゃん」のキャラクターはあくまで脇役と心がけている。撮影をする先輩に細かく指示を出す。

ハルちゃん:
「ちょっと顔がでかすぎる。プリンをちょっと目立たせたい」
ハルちゃんの要望に先輩は温かい目線で応じている。
ハルちゃん:
「(相棒の)島田さんは優しいので、言いやすくて細かく指示できる」
北広島町観光協会 島田青坪さん:
「監督のイメージに近づけるように…」
取材現場では「ハルちゃん」の言葉や笑顔が撮影に慣れない店の人たちの緊張を和らげる。

「にわのにわとり」横山慎士さん、妻・まいさん:
「すごいと思います。工夫してくれて店のことをアピールしてくれるので、自分たちにはない視点があるので」
撮影後はすぐに一人でナレーション撮りと編集だ。ここでも自分が納得するまで、やり直しを繰り返す。
ハルちゃん:
「これから声を入れていこうと思います」
「にわのにわとりさんへ、レッツらモー!」

ハルちゃん:
「失敗しました。いまのはレッツらモーのモーがよくなかった」
そんな細部にまで思いを込めて完成した動画がこちら。

北広島町観光協会 動画から
ハルちゃん:
「にわのにわとりさんへレッツらモー!!オシャレで落ち着いた店内に甘い香りが広がります。なんて幸せな光景…滑らかでコクがあるプリンマドンナ。ほろ苦いカラメルがまた、たまらん」

「にわのにわとり」横山慎士さん、妻・まいさん:
「平飼い卵を使ったお菓子たちです。食べに来てね」
神楽好きで北広島町に
「ハルちゃん」が親戚もいない北広島町に飛び込んだのは、伝統芸能「神楽」に惹かれたからだという。

ハルちゃん:
「いち神楽ファンでもあるので仕事で神楽を見られるのはすごくありがたい。嬉しいです。きらびやかな豪華絢爛な衣装がすごく乙女心をくすぐるというか…」
「ハルちゃん」が北広島町と神楽に魅せられるようになったのは母・裕子さんの影響が大きい。司会業をする裕子さんに連れられ、幼いころから「ハルちゃん」は、神楽のステージを間近で見てきた。

母 裕子さん:
「小さいころから神社の神楽とかすごく行ったもんね」

ハルちゃん:
「匂いとか、神社だと距離が近いから、衣装が近くまで来たり…躍動感もすごいし」
ステージでも北広島町をアピール
神楽は見るのが専門という「ハルちゃん」。活躍の場はSNSだけにとどまらない。
3月上旬には、神楽の上演に合わせ世界遺産の宮島のステージで北広島町をアピール。

ハルちゃん:
「スキーといえば北広島町と覚えてもらいたくてこの格好をしてきました」

北広島町への「神楽愛」をきっかけに温もりのある動画を発信するようになった「ハルちゃん」こと日下遥さん。取材する1人1人に愛と情熱を注ぐ。

ハルちゃん:
「動画を通じて色んな人に出会えて交流ができるので、自分にあっているかなと思う。魅力をものすごく深堀りできるので、本当に取材をしつつ勉強をさせてもらいつつという感じ」
広島の山間部の北広島町に思わぬ旋風を巻き起こした「ハルちゃん」の今後の活躍に注目したい。
(テレビ新広島)