多くの生徒に愛され続けた教師から動物たちへの贈り物。2024年8月に亡くなった熊本市の元高校教諭が、熊本市動植物園に遺産を寄付し、3月27日に贈呈式が行われた。

元高校教諭・草野美智子さんの遺言

2024年8月に末期がんで旅立った元高校教諭・草野美智子さん。熊本大学を卒業後、水俣・氷川・熊本高校の国語教師として教壇に立ち、熊本高専を定年退職後は自由気ままな時間を満喫していたという。

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家族はおらず、遠縁の親戚と遺言を託した元教え子の弁護士だけで葬儀は行われ、弁護士には「寄付の手続きが完了するまで、元教え子や周囲の人に亡くなったことを伝えないでほしい」ときつく指示。

そして、コツコツと蓄えた全財産を「熊本市動植物園に寄付してほしい」と遺した。その額、9106万646円。動物を愛し、度々訪れていた熊本市動植物園の老朽化を心配し、遺言を書いた。

元教え子で弁護士の利光宏司さんは「(草野先生は)がんの治療をしなかった。「受け入れる」と。決めたら動かない方だから、自分で決められて淡々と、生きている間に後始末をほとんど1人でしていた」と話す。

「動植物園の一助となれば幸甚です」

元教え子や同僚によると草野先生は「厳しく優しく」「凛とした姿」でプライベートな話しは、ほとんどしなかった。愛する動物たちと穏やかな時間を過ごした動植物園への贈り物。

草野先生は遺言に「末永く多くの人に愛され続ける動植物園となるために、魅力ある施設整備や園の運営を進めていく一助となれば幸甚です」と残した。

動植物園の新たな歴史と子供たちの笑顔を、草野先生はきっと優しいまなざしで見守ってくれることだろう。

熊本市動植物園は寄付金について「開園100周年記念事業として、2029年にお披露目予定の『サバンナエリア』の整備に活用したい」という。

(テレビ熊本)

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