国の重要文化財に指定されている新潟市の萬代橋で落書きが相次いで見つかった。また、新潟市内の商業施設などでも落書きが見つかっている。こうした落書きに見られる共通点から専門家は地元の人ではなく、観光客による犯行の可能性を指摘している。

商業施設の駐輪場に“落書き”

黄色と黒の塗料で書かれた大きな落書き。

商業施設の駐輪場
商業施設の駐輪場
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この落書きが見つかったのは、新潟市中央区にある商業施設・ビルボードプレイスの駐輪場だ。

この落書きは、24日午前0時半すぎに巡回中の警備員が発見。警備員は2時間前にも巡回していて、その際は落書きがなかったため、この間に犯行が行われたとみられている。

秋山哲男館長は「ここまで大きい落書きなので非常に驚いたことと、迷惑きわまりないという感じ」と憤りを口にする。

施設や駐輪場の利用者は「前回来たときはなかった。これは犯罪」「どうしても街のイメージにも影響してしまうし、できればこういったことはやめたほうがいいと思う」などの声が聞かれた。

共通点は『25』 観光客による犯行か

犯人は一体なぜ落書きをするのか?

落書きなどのグラフィティー文化に詳しい東京都市大学の小林茂雄教授は「なんのためかというと、一つは自己表現。認められたい、色んな人に自分の書いたものを見てもらいたい気持ちが強い」と指摘する。

萬代橋
萬代橋

承認欲求から行われるケースが多いという落書き。新潟市のイメージ低下にもつながりかねない公共のスペースでの今回の落書きだが、これらの落書きにはある共通点があった。

商業施設の落書きには、『25』と書かれた数字がある。

また、数百m離れた新潟市のシンボル・萬代橋の落書きにも『25』の数字が。3月21日に見つかった萬代橋橋詰広場の落書きにも『25』の数字。

さらに、この2つの落書きに加え萬代橋にもう一つ、千歳大橋、柳都大橋でも数字で25と書かれた落書きが新たに見つかった。

共通点は『25』
共通点は『25』

この『25』という数字が持つ意味から小林教授は犯人像を推測できると話す。

「25というと、2025年。“今年に来た”という意味合いが強いと思う。そう考えると、新潟に住むような人ではなく、観光や旅行で来た日本人、外国人の可能性が高い」

“多くの人が通る場所”で被害

また、数字のほかに落書きされる場所にも共通点があると小林教授は指摘する。

落書きされる場所は…“多くの人が通る場所”
落書きされる場所は…“多くの人が通る場所”

「橋とか交通の起点となるような場所によく書かれる。なぜかというと、多くの人に見られたいから。多くの人が通る場所に書かれると、色んな人が目にするということで書かれやすいと思う」

多くの人が集まる商業施設ビルボードプレイスでは、過去にも落書きの被害があったという。

秋山館長は「これまでは普通の清掃で落ちていたが、今回は落ちない。同じように塗り直して、目立たないようにしていきたい」と話す。

被害の拡大防ぐには「すぐ消去を」

小林教授は被害の拡大を防ぐには、書かれた落書きをすぐに消すことが重要だと指摘する。

「落書きが1つあると、2つ目・3つ目が生まれやすい。書かれたらすぐに消去する。だいたい書かれるのは夜中。夜中に書かれたら次の日の午前中には消去すると多くの人に見られない」

ビルボードプレイスや新潟国道事務所は警察に被害届を提出し、今後の対応について検討する方針だ。

一方で、今回の落書きについては器物損壊罪にあたる場合もあり、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。

また、萬代橋など重要文化財に指定されているものについては、文化財保護法違反となる可能性もあり、5年以下の懲役・禁錮、または100万円以下の罰金が科されることになる。

街のイメージ低下にもつながるため、落書きは絶対にやめてほしい。

(NST新潟総合テレビ)

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