小児がんの治療の影響などで生じる晩期合併症を軽減することが課題となっているなか、陽子線治療が都立病院で初めて導入されることになりました。
陽子線治療は、がん病巣の深さや大きさに合わせて、このピークの深さや幅を調整することで、病巣に効率よく線量を集中し、正常組織への線量を少なくすることができる最新の治療方法です。
東京都立小児総合医療センター血液・腫瘍科の湯坐有希部長は「この陽子線というのは小児がんにとっては非常に重要な治療になると考えています。理由は陽子線というのは深いところにある腫瘍に対してある程度こう絞って照射をすることができるので、周りの正常な臓器を守ることで、晩期合併症を軽減することが期待できます」と話します。
晩期合併症とは、がん治療を終えてから時間がたったあとに起きる合併症で内分泌疾患や臓器障害などが出てくるといわれています。
湯坐さんは、治療後の生存年数が長い小児がん患者に対しては特に晩期合併症を軽減することがとても大切だと話しています。
陽子線治療の整備は都立駒込病院で計画が進められていて2030年度からの運用開始が予定されています。
小児がんは国内で年間2500人から3000人が発症するといわれています。