街をゾンビたちが闊歩してさまよい歩く光景は、空き家が建ち並んでさびしさを醸(かも)し出す西裏だからこそ大いに映え、当日は各メディアが取材して全国ニュースでも取り上げられました。

富士急ハイランド側も発信してくれることでプロモーションを強化できました。イベントではクーポン券付きのツアーも展開。飲食店ではしご酒を楽しみながら、ゾンビたちの恐怖に打ち震えるといった趣を楽しめるイベントとなり、集客が上がりました。

話題性を高めるように企画し、プロモーションに努め、マネタイズ視点も持つことでタダ見のイベントに終わらず、売り上げへとつながるのです。

布に特化した芸術祭でも活用

また、富士吉田市では、「FUJI TEXTILE WEEK(フジテキスタイルウィーク)」という布の芸術祭を開催しています。テキスタイルとは英語で織物や布地、繊維、編み物の総称です。

このイベントは、日本唯一の布に特化した芸術祭です。アーティストが練った構想に基づき、彼らのディレクションで、1000年の歴史を持つ機織りの街の事業者がテキスタイルを制作し、それを地域の社会課題である空き家に展示するという内容です。

空き家を使ったイベントのあとに空き家の活用も進む(画像:イメージ)
空き家を使ったイベントのあとに空き家の活用も進む(画像:イメージ)

がらんどうの空き家が、作品の芸術性を視覚的に高め、また幅が10メートルを超えるような巨大作品も並べられて、テキスタイルアートを存分に表現できる場に一変しました。

用途の乏しい空き家でも、使い方次第で多様なイベントの受け皿になり、それが観光振興の起爆剤になりうる。さらに、このイベント後は空き家の活用を促し、貸し出しをPRするという狙いもしっかりと込められており、実際にイベント後に空き家の活用が進んでいます。

高付加価値は高単価ではない

インバウンド観光客は非常にアクティブです。彼らを取り込むためには、体験価値にこだわり、高付加価値を感じさせるプログラムを提供しなければなりません。