福岡・香春町で、子どもたちが熱中するカードゲームが話題になっている。
一般的なトレーディングカードとは異なり、カードに描かれているのは実在の地域の“おじさん”たちだ。
人気が高まり、中にはおじさんのサインをもらった子どもまでいる。
製作者によると、子どもたちと地域のおじさんたちの関係を作りたかったという。

福岡の町で大流行中の“おじさんトレカ”

今、若者を中心に人気なのが、スマホのポケモンカードゲーム通称「ポケポケ」だ。
ところが福岡・香春町 “だけ”まったく違うカードゲームが大流行中だ。

子どもたちが遊んでいたのは、“おじさん”のカードゲームだという。

謎のおじさんのトレーディングカード
謎のおじさんのトレーディングカード
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カードには、にっこり顔の知らないおじさんや、じっーっとこちらを見る知らないおじさんの姿があった。
まさに“おじさんトレカ”だ。

カードゲームを行う集まりに来ていた女の子は70枚以上所持し、“おじさん沼”にどハマり中だ。

また、カードゲームを行う子どもたちは、「パーフェクトファイヤー」、「Fの揺らぎ」などの“固有スキル”を連呼する様子もあった。

二つ名のようなものが記載されたカード
二つ名のようなものが記載されたカード

カードを見せてもらうと、おじさんのカードの上には、「ソニック・フォトン」や「ファイヤーウォール」などの文字が書かれていた。

大人気!おじさんトレカの正体とは…

疑問となるのが、このカードの人たちがいったい何者かという点。
実は、すべて香春町に実在する“おじさん”だ。

おじさんトレカは、すべて実在するおじさん
おじさんトレカは、すべて実在するおじさん

「ファイヤーウォール」のカードのおじさんは、元消防団長で地域の安全を守る本田さん(74)、「SOBA(そば)師匠」は、そば打ち教室を開いているそば職人の竹下さん(81)だった。

中でも子どもたちに人気なのが、「オールラウンダー」のおじさんカードだ。

「オールラウンダー」のカードのモデルは元刑務官の藤井さん
「オールラウンダー」のカードのモデルは元刑務官の藤井さん

近くにいるということで、取材班が話をうかがったのは元刑務官の藤井さん(68)だ。
現在はボランティアであらゆる“お助け活動”をしていることから、「オールラウンダー」のカードとなっていた。

その人気ぶりについて、藤井さんは「最初に(カードに)なった時はびっくりしました。まさか私が?と…女の子がカードに『サインをして』と」まさかの人気ぶりに驚きを隠せなかったという。

実際にサインをもらった小学1年生の女の子にサインをもらった時の気持ちを聞くと、「うれしかった」と話し、誇らしげにカードを掲げていた。

地域をつなぐ“おじさんトレカ”誕生の背景

約40種類あるという、おじさんトレカの誕生のきっかけは何だったのか。

考案者は、「子どもたちとの関係が地域の中で希薄だった。こんなに素晴らしい人たちがいるのに、誰も知らないのがもったいないと思って」と、子どもとおじさんたちの“つながり”を作りたかったと語る。

カードで地域活動が活性化したという
カードで地域活動が活性化したという

カードの爆発的な人気で、おじさんは子どもたちにとって“ヒーロー的存在”になった。
“おじさんに会える”という理由で、地域活動に参加する子どもが倍増したという。

地域の問題を解決するヒーローは、意外にもあなたのすぐそばにいるのかもしれない。
(「イット!」 3月12日放送より)

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