秋田・湯沢市が2020年から運営する中小企業の経営相談窓口「ゆざわ-Biz(ビズ)」で、センター長として地元企業をサポートしてきた藤田敬太さんが3月いっぱいで退任する。業務開始以来、実践的なアドバイスに努めてきた藤田さんは「地域の事業者にやる気が起きてきた」と5年にわたる活動の成果を振り返った。
5年が一区切り 3月末で退任
2月19日、湯沢市ビジネス支援センター「ゆざわ-Biz」の業務実績などに関する会見が市役所で開かれた。

開設当初からセンター長を務めてきた藤田敬太さんは、「私の中のこの5年は結構濃かった。もともと自分がやろうと思っていた相談業務や結果に近いところまで持って行けたので、それなりのやりがいがあったし、自分の中で手応えがあった」と振り返った。

もともと「5年が一区切り」と決めていたという藤田さんは、3月末でセンター長を退任する。
相談は5年間で470社延べ4355件
ゆざわ-Bizが立ち上げられたのは2020年1月。新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた頃だった。

相談者が持つ技術や商品から強みを見出し、なるべくコストをかけずに業績を伸ばす実践的なアドバイスをしてきたゆざわ-Bizが、これまでの5年間に受け付けた相談は、470社から延べ4355件に上る。

内容は、売り上げアップや販路拡大にとどまらず、「起業したいが何から始めたらいいのか」といったものも多く、2024年の1年間では、ゆざわ-Bizへの相談をきっかけに13件の事業がスタートした。
“菅フィーバー”の経済効果は4000万円
新聞記者や企業の海外法人の代表を務めた経験を生かし、地元事業者へのアドバイスを一手に引き受けてきた藤田さん。

印象に残っている取り組みを聞くと「就任1年目の時に急に降って湧いたような菅フィーバー。Bizがなければできなかったこと」と振り返る。

2020年に湯沢市出身の菅義偉氏が総理大臣に就任すると、市内の事業者に記念商品の開発・販売を呼びかけ、「菅フィーバー」とも呼べる盛り上がりの火付け役となった。

その経済効果は4000万円にも上ったという。
ゆざわ-Bizをきっかけにした盛り上がりを通じて、地域の企業に「まずはやってみよう」という意識が芽生えたと藤田さんは感じている。

ゆざわ-Biz・藤田敬太センター長:
地域の事業者にやる気が起きてきた気がする。「自分たちが何をやっても…」という意識があったと思う。「こういうことができるんじゃないかな」ということを積極的に自分たちで能動的に考えてやれるようになったのは、5年間でかなりの変化だと思っている。
事業や商品に自信持ち積極アピールを!
地域の経済をけん引する存在だったゆざわ-Bizだが、藤田さんの退任に伴い3月いっぱいでの閉鎖が決定している。

湯沢市は、「後任のセンター長に適した人材を見つけるのが困難」「人件費などの経費が財政を圧迫している」といった理由を挙げた。今後は、ゆざわ-Bizのノウハウを生かした経営相談体制を構築したいとしている。
ゆざわ-Bizがまいた“挑戦の種”を消さないためにも、市や事業者のより一層の努力が求められる。

藤田さんは、湯沢市や秋田県内の事業者に「自分たちの事業や商品、サービスにもっと自信を持ち、国の内外に積極的にアピールしてほしい」とエールを送った。
(秋田テレビ)