10秒の世界で輝きを放つ、四国最速の高校生スプリンターがいる。済美高校3年の畠中寧樹選手は、愛媛県高校新記録となる10秒5をたたき出し、その実力を証明してきた。わずか10秒あまりのレースに懸ける思いと、乗り越えてきた試練。百分の一秒を削り出す努力の先に、彼が見据える大きな夢がある。

短距離の魅力が詰まった10秒間

陸上競技の中でも人気の花形種目、100m走。スタートからゴールまでわずか10秒あまりの勝負は、百分の1秒が勝敗を分ける厳しい世界だ。

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畠中選手は「10秒というこの短い時間の中に色んな努力したり悔しかったり、色んな気持ちが隠れてて。この短い時間の中で人をどれだけ魅了させられるかというのも短距離の魅力だと思っていて、そういうところが自分は好き」と語る。

済美高校3年の畠中寧樹選手は、100m走で10秒5の愛媛県高校記録を持ち、中学・高校と愛媛の短距離界をけん引してきた期待のスプリンターだ。

畠中寧樹選手:
自分の持ち味はスタートから中盤にかけての加速力で、立ち上がってからはもう誰にも負けないという気持ちで走ってます。

その言葉通り、圧倒的な加速を武器に数々の大会で結果を残してきた。

挫折を乗り越えた転換点

畠中選手は愛媛の中学生として初めて11秒の壁を破り注目を集めると、高校1年の秋には16歳以下の全国大会で準優勝。

大舞台でも輝きを放ち、更なる飛躍が期待されていた。しかし、「去年、高2の時に自分が一番伸び悩んでた」と振り返る。

身長173cm、体重63kgと体は大きくはないが、周囲も認める努力家である畠中選手は、コツコツと練習に取り組み成長を続けてきた。しかし、高校2年になると思うような結果が出なくなった。それは彼にとって初めての経験だった。

その窮地を救ったのは、恩師であり100mの愛媛県記録(10秒29)を持つ富本一哉監督だった。富本一哉監督は「2年生の時は自分の体を思うように動かす力がまだなかったので、2年生の冬季の間に相談をしながら色々なアプローチをかけて、自分の思い描くような動きっていうのができるようになってきた。イメージ通りにできるようになってからは記録が高水準で安定して出せるようになった」と、その成長を語る。

世界を見据えた新たな挑戦

監督からのサポートを受け、自分の走りを改めて見つめ直した畠中選手。その努力は実を結び、「見えない壁」を打ち破り、2024年2月の全国大会で準優勝に輝いた。

さらに5月には自己ベストを0.2秒も縮める10秒5で愛媛県高校記録を更新。勢いそのままに四国総体も制し、四国最速のスプリンターへと駆け上がった。

畠中選手は「伸び悩む時期というのは必ずあると思うんで、その時こそ初心に戻ったりして、自分の苦手なことに立ち向かっていく姿勢を大学ではしていきたい」と次のステージへの意欲を見せる。インターハイは惜しくも準決勝で敗退。目標としていた決勝進出は逃したが、その悔しさを糧にこれからも百分の1秒を競う世界に挑み続ける。

「0.01秒を競う種目なので、その0.01秒のためにどれだけ努力したかで結構決まってくる」と語る畠中選手は、さらに高い目標を掲げる。

畠中寧樹選手:
やっぱり10秒切ることが誰でも目標だと思うんですけど、それだけじゃなくて、それプラス世界でもしっかり戦える選手にはなりたい。

四国最速から日本最速、そして世界へ。畠中選手は大きな夢に向かって走り続ける。

(テレビ愛媛)

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