10秒…、20秒…、1分!? 寝ている間に突然、呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群。「私には関係ない」と考える人も多いが、実は命を落とすことにもつながりかねない危険な病気なのだ。
肥満の人がかかるイメージだが…
「ほぼ毎日、無呼吸になっていたみたいですね。自分の場合、1時間に10回以上とか極端に悪かったみたい。もう仕事中も寝ているとか、そんな感じですかね。頭もぼーっとして…」と話す男性患者。

「太っている人がなるイメージ」「肉付きのいい人というか、脂肪が付いている人」と多くの人たちにも肥満=睡眠時無呼吸症候群というイメージが定着している。

肥満が原因のひとつとされている睡眠時無呼吸症候群。舌が落ち込み気道を塞ぐことで起こる症状なのだが、実は、肥満とは遠い、痩せ型の人にも発症のリスクがあるのだ。

睡眠外来を専門に行っている福岡市『浦添クリニック』の山口祐司院長は「睡眠時無呼吸症候群で、太っている人はだいたい3分の2。3分の1は痩せた人。顎が小さいような人ですね、顎がちょっと後ろにいっている人」と話す。

体型だけではなく顎の小ささが原因
顎が小さいとなぜ無呼吸になりやすいのか?「顎が小さいと相対的に舌が大きくなって気道が狭くなるんです。アメリカの無呼吸の頻度と日本人の無呼吸の頻度は、同じぐらいで5~10%ぐらい。日本人はアメリカに比べて、そんなに肥満の人がいないのに、何で多いのかというと、やはり顎の特徴が原因」と山口院長は指摘する。日本人には顎が小さい人が多く、痩せ形の人や女性でも発症しやすいというのだ。

「体重の増減が、激しくなった時期、うたた寝している時に息が荒いというか『ちゃんと吸えてないよね』って言われて気がついた。ちょっと自分にはイメージがなかったですね」と話す30代の女性。体重に大きな変化があった時に症状に気付いたという。

症状改善に向け、現在はダイエットに励んでいるということだが、女性は「父親の体型は細いけど、顎の形か何かの問題で父親は今も睡眠時無呼吸症候群。私も痩せたところで、もしかしたら遺伝的な感じで治療は続くかもとお医者さんに言われてる」と不安を口にする。
心筋梗塞・脳梗塞・ガンなどのリスク
取材した福岡市のクリニックでは、現在1800人以上が、睡眠時に圧力をかけた空気を送り込んで気道を広げる『CPAP』での治療に取り組んでいる。

「だいたい平均では30秒くらいですね。30秒ぐらいで目が覚めます。ひどい人は1分以上、2分の人もいますね。夜間、低酸素血症になりますと交感神経が緊張して高血圧になったり心筋梗塞になったり、脳梗塞になったり。最近ではガンになりやすいという報告もあります」と山口院長は警鐘を鳴らす。

睡眠時無呼吸症候群は、症状が軽い場合、セルフチェックも可能だ。鏡の前で、座った状態で大きく口を開け、声を出さずに舌を前面に出す。そして喉を見て、喉の奥がどの程度、見えているかによってリスクが違ってくる。喉の奥が見えない方が、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高いといえる。また、家でも出来る改善策のひとつとして、抱き枕を使うと良いという。横向きで寝ることで舌の付け根が喉の奥に落ちにくくなって気道を確保できるというのだ。
ただ、外科手術が有効な場合もあるので、気になる方は呼吸器内科や循環器内科、耳鼻咽喉科などを受診するようにと専門家は話す。
(テレビ西日本)