石破首相が17日、2025年8月からの高額療養費制度改正で長期治療患者の負担引き上げを据え置く方針を表明した。年に4回制度を利用する場合は多数回該当にあたり、4回目以降は、現行の水準が適用される。
医療費の上限巡る“負担増”問題
2025年8月から決まっている高額療養費制度の負担上限引き上げだが、長期療養を受ける人は「引き上げ据え置き」となる。

宮司愛海キャスター:
70歳未満、年収約500万円(約370万円〜約770万円)のAさんの例でみていきたいと思います。例えば、現在はひと月の医療費(月初~月末)に100万円掛かった場合、70万6000円は保険給付でカバーでき、29万4000円は窓口負担となり、その内、高額療養費制度で約20万6000円が支給され、実際の自己負担額は約8万7000円になります。
ですが、制度が改正されると自己負担額は、約9万5000円、ひと月に約8000円引き上げられることになります。ただ、年に4回制度を利用する場合は多数回該当にあたり、この場合は自己負担が約4万4000円になります。
青井実キャスター:
国としては、医療費の上限額を見直し、払える人には多めに払ってもらって現役世代の保険料を軽くしたいという狙いもあると思いますが、がん患者団体などから「治療を続けられなくなる」と見直しを求める声もありますよね。

宮司キャスター:
そんな中で、17日石破首相が新たな方針を表明しました。「長期治療する人の引き上げ据え置き」は、医療費が「1年で上限額に達した月が4回以上」ある場合に関して適用されると言います。
先ほどのAさんの場合で見てみます。まず、ひと月の医療費が100万円かかる場合、1〜3回目は9万5000円ですが、4回目からは多数回該当に該当するので、現在の金額である4万4000円となる方針です。
これまでは、高額療養費制度を使う全ての人に対して自己負担限度額を引き上げることになっていましたが、がんや、白血病などは治療にお金も時間も掛かるので、そうした患者に配慮した形で方針が表明されたということです。
現役世代の保険料軽減に課題…所得に応じた負担考える必要も
青井キャスター:
がん治療など長期の治療をする患者には良い制度に思いますが、主に現役世代の保険料の軽減には課題が残りそうですよね。

SPキャスター橋下徹さん:
今の国会で一番議論が抜けているのは、医療費や教育費などを、それぞれの国民がどれぐらい負担してもらうのかということです。国会では、補助金を上げろ、減税しろ、負担は減らせ、といった議論ばかりじゃないですか。これからの時代、所得に応じて、医療・教育・福祉などに、どれだけ負担してもらうのかを決めていくのが政治だと思います。
(「イット!」2月17日放送より)