皆さんもなじみ深い「バナナ」。
先週、都市ごとのバナナの購入量のデータが発表され、なんと関西の都市が1位から4位までを独占した。
■【動画で見る】「関西人はバナナ好き」バナナ購入量上位を関西の都市が独占 理由は「渋ちんだから?」本当の理由に迫った
「関西人はバナナ好き」なのか?その理由も合わせて徹底調査した。
■子ども9人の大家族に「バナナ」は欠かせない
2月13日朝、訪ねたのは大阪市に住む鶴山さんご一家。 17歳から0歳まで9人の子どもがいる大家族だ。

急いで支度を進める中で、朝ごはんのメニューは「バナナ」です。
「もう食べて大丈夫?」「いただきます」「いただきまーす」
六女のあやちゃんと、五女のこころちゃんは、そのまま食べている。三女のみゆうちゃんと四女のゆいちゃんは、ヨーグルトと一緒に。みんなでもぐもぐ食べている。

五女 こころちゃん:(バナナ)大好き。
母 鶴山りかさん:週に2回とか、多い子は3回食べたりとか。バナナが安い時は結構何房もまとめて買って。でも一瞬でなくなっちゃうんで、また2~3日後に買い物行くときに買ってみたいな。
■大阪のスーパーには巨大なバナナ売り場
生活にバナナが欠かせないのは、鶴山さんだけではない。大手スーパーに行ってみると…。

記者リポート:こちらバナナ売り場。一列全部がバナナになっていまして、売り場のかなりの面積をバナナが占めています。
バナナだけで15種類。甘みさわやかバナナ159円、甘熟もっちりバナナ213円、熟れっ子バナナ321円など、いろんなバナナがある。1日およそ600点が売れるそうだ。
買い物客:ほぼ毎日食べるので、2~3日に1回は(買う)。我が家はバナナ好きなので2つ袋まとめ買いして。
買い物客:好きなのもあるんですけど、栄養考えて、毎日とりたいなって感じ。

大人気のバナナだが、実は、関西とバナナを結びつける意外なデータが先週明らかになった。
総務省統計局の家計調査で発表された「バナナの購入数量ランキング」。なんと上位1位から4位までを、関西の都市が独占し、「関西人のバナナ好き」を示す結果となった。
■街で理由を聞くと「渋ちんが多い」「そんな深く考えてない」
吉原功兼キャスター:関西の都市が上位を独占しているバナナの購入量。なぜ関西人はバナナが好きなのでしょうか?

理由を解明すべく、さっそく調査を開始した。
(Q.バナナの購入量、関西の都市が上位独占してるんです)
京都出身の50代:これ(京都市)はなんとなく分かる。“渋ちん”が多いし。バナナ安いもん。財布のひもが固い、固すぎる。

大阪在住の80代:好きだから食べているわけであって、そんな深く考えてないもん。
■大阪でも栽培されているバナナ
街で聞いても理由は分からず。
取材班は大阪・吹田市にある農園に向かった。案内された先にあったのは、大きな葉っぱをつけた「バナナの木」。熱帯地域で作られるイメージだが、実は大阪でもハウスの中でバナナが作られている。

北摂バナナ圃場 紙谷幸弘代表:暑くなり過ぎたらハウスの窓を開けたり、365日、昼間は絶対誰かスタッフがついています。
(Q.だいぶ過保護なバナナですね?)
北摂バナナ圃場 紙谷幸弘代表:そうですね。僕はしゃべりかけていますけどね。
あふれるバナナ愛だ。「関西人がバナナ好き」の理由も知っているのだろうか。
北摂バナナ圃場 紙谷幸弘代表:分からないですけど、スーパーにいっぱい売っているから、安く売っているから、買われてるんちがうかな。
そんなバナナ…。
■バナナをおいしく熟成させる加工会社が堺にあった
次に向かったのは購入量第2位を誇る堺市で、大正時代から続くバナナの加工会社だ。

こちらでは、1箱15キロあるバナナを「地下室(ちかむろ)」と呼ばれる部屋がいっぱいになるまで運び、5日間ほど熟成させ、バナナをおいしい状態に仕上げている。
(Q.結構重労働ですよね?)
薮内産業 薮内寛之社長:誰もせんようなって…。

今はここだけですが、昔は堺の街にこうした会社がいくつもあったそうです。ということは、バナナを扱う会社が多いから「関西人がバナナ好き」になったのでしょうか?
薮内産業 薮内寛之社長:いやそれはないんですけど。(Q.関西人が特にバナナ好きだと考えたことは?)全くないですね。
その時、社長から重要な証言があった。
(Q.どこから運ばれてきている?)
薮内産業 薮内寛之社長:これは神戸、ポートアイランド。
(Q.この会社のバナナはほとんど神戸から?)
薮内産業 薮内寛之社長:神戸です、全部。
■バナナは「神戸から来ている」
関西のバナナが「神戸から来ている」とはどういうことなのか。急いで神戸港へ向かった。

吉原功兼キャスター:大きい船ですね。
上組(かみぐみ)神戸支店 山口文明青果部長:この船自体が大きな冷蔵庫みたいになっているので、この中にバナナが入っている。
吉原功兼キャスター:どのぐらい入ってるんですか?
上組神戸支店 山口文明青果部長:神戸で今回800万本とか、1000万本という数ですね。
吉原功兼キャスター:ということは、ぎっしり1000万本のバナナが入ってる。『バナナ船』ですね。
次々と船から降ろされる大量のバナナ。
■日本で最初に台湾バナナが運び込まれた神戸港は別名「バナナ港」
一体なぜ、神戸港にこれだけのバナナが集まっているのか?
上組神戸支店 山口文明青果部長:昔、日本で1番(最初)に荷揚げされたのが神戸港。明治時代。

実は1903年、日本で最初に台湾バナナが運び込まれたのが、神戸港。当時から港湾運送会社の上組がここで荷揚げを続けていて、バナナが集まる港として、「バナナ港」とも呼ばれているそうだ。
倉庫を見せてもらうと…。
吉原功兼キャスター:すごい数だ。結構あったかい。バナナですよね。めちゃめちゃ数あります。建物の中にこのケースはどれぐらい入っている?
上組神戸支店 山口文明青果部長:バナナだけで100万ケース、1億本ぐらい。
吉原功兼キャスター:1億本!バナナ船にバナナ港、そしてバナナ倉庫。知りませんでした、ポートアイランドにこんなバナナの拠点があるとは。

そして、長い歴史を持つ「バナナ港」の存在が、関西人を「バナナ好き」にしていたようだ。
上組神戸支店 山口文明青果部長:神戸に荷揚げしているのもありますけど、神戸に非常に大手の加工業者さんがありますので、京阪神がやはり大きな消費地区になってるんじゃないかと。

さらに専門家は「日持ち」の問題も理由の一つだったのではないかと指摘する。
フードジャーナリスト 曽我和弘さん:昔は冷凍技術も発達していないから、黄色くしたらすぐ売らないとダメだった。だから関西地区でたくさん売ったんだと思う。
関西とバナナを結ぶ意外な真実。関西人の皆さんは「バナナ好き」の自覚あるのだろうか。
■関西とバナナには深いつながり
関西とバナナには、歴史的にも深いつながりがあったということだ。

関西人がバナナ好きな理由について、フードジャーナリストの曽我さんによると、「関西人はせっかちで、パンとセットで食べるから」だという。
パンの購入量、1位堺市、2位大津市、3位大阪市となっていて、関西の人はパンもよく買っている。
関西テレビ 神崎博報道デスク:大阪の長くやっている喫茶店でモーニングを頼むと、今でもトーストとコーヒーにバナナまるごと一本ついていたりするんです。あと大阪でいうと、ミックスジュースにバナナが入っていますよね。そんな感じで、関西人とバナナはかかわりが深いのかと思います。

物流が発達した現在、関東にもバナナが好きな人がいっぱいてもおかしくないはずだが、関西がトップであるのはもっと深い理由があるのではないかという疑問も沸いてくる。
犬山紙子さん:やっぱ安いから。安くて栄養がある。
吉原功兼キャスター:物価高でいろんなものが高騰する中で、バナナはまだお手ごろ価格だったりしますもんね。
本当の答えは別にあるのか?バナナの謎は深まるばかりだ。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年2月13日放送)