高円宮妃久子さまは2月5日、横浜市の赤レンガ倉庫で行われた「にっぽん-大使たちの視線2024」写真展オープニングセレモニーに参加されました。

この写真展は、日本に駐在している大使などの外交官の視線から日本の姿を捉えた写真を展示する展覧会で、27年目を迎えています。創設された際、高円宮さまが名誉総裁を務めていたこともあり、現在は久子さまが名誉総裁を引き継がれています。
セレモニーでのご挨拶で久子さまは、写真展設立の経緯などについて触れられています。

「ルクセンブルク大使、当時日本に赴任しておられたルクセンブルク大使ピエール・グラメーニア大使のご発案で、当時橋本龍太郎総理、写真家としてもとても活躍しておられましたけれども、橋本龍太郎さんに選考委員長を務めて頂いて開始致しました」

「当時、宮様が名誉総裁を務めてらっしゃったので、宮様もよく写真を撮っておられましたので、とても楽しく皆さま出会ったのを覚えております」
久子さまは、英語と日本語を交互に使い分けて挨拶されました。
「曙光」と題した久子さまの作品も展示
写真展には外交官が日本のどんなところに興味を持ったのか、また日本のどんな美しさに惹かれたのか、「Inspiring Japan」(感動的日本)という今年のテーマに42の国と地域から62名の外交官が、それぞれの視線を込め撮られた写真が並びました。

今回「高円宮殿下メモリアル賞」に輝いたのは、フィリピン大使館のアタッシェ・専門分野を担当する職員のジャッキー・ルー・オングさんの「コインの中の文化遺産」が、「グランプリ」はアラブ首長国連邦の特命全権大使のシハブ・アルファヒームさんの「宮島の鹿」が受賞しています。

この二つの賞の違いは、「メモリアル賞」が決定的な瞬間を捉えたものやアイディアから生まれた写真で、場合によってはスマホで瞬間を撮影されたモノであったりもするということです。
一方、「グランプリ」は技術的にも素晴らしいもので、構図や光など計算された上で撮影された作品だということでした。

この中には、久子さまの写真も展示されました。「曙光」と題した写真は、東京・町田市の薬師池公園で撮影されたものだということです。
久子さまは、アマチュアの写真展ながら、年々写真のレベルがどんどんと上がってきて、手を掛けて撮影した写真でないと提出できなくなってきたと、嬉しそうに話をされていました。

この写真展は、日本各地を巡回して開かれており、昨年10月に、東京・港区から始まりましたが、今回は久子さまを交えた鼎談も行われ、選考会の様子などが披露されました。

「撮られた写真に番号がふってあって、どなたがお撮りになった写真かは全くわからないように、名前は伏せて番号だけがふってあります。それに対して私どもが回って、色々票を入れながら回って行くわけです」
公平にかつ、たくさんの写真を前に、楽しくも苦しい選考が行われていることが伺えました。
「この展覧会は“友好の証”」大使や外交官の方々に力説
そして、今後について、大使を含む外交官の方々に、写真を撮る利点を力説されていました。

「大使方が豊富な経験と知識を持った状態で、日本という国をご覧になって何が面白いか、何が興味深いか、印象に残るのかというのを捉えて、その捉えた写真というのが残っていくわけです」
撮影することで、大使や外交官の方が、自国に戻ったとき、日本を紹介した講演や執筆をする際に、こうした写真が利用できると、記憶だけでなく記録に残った写真で、より深く日本を語ることができることを示されていました。

そして、「この展覧会は、友好の証でもあるし、大事な外交の一面でもあると思っていますので、引き続き大使方にお願いして、この展覧会が長く続きますように心より願っております」と締められました。
今年はこの後、名古屋と北海道・東川町で開催されると言うことで、写真展がお近くに回ってきた場合、外交官がどのように日本をみているか、見に行くのも楽しいかもしれません。
【執筆:フジテレビ皇室担当解説委員 橋本寿史】