モロー反射が残存している子は、環境の変化に弱いものです。
それもそのはず、新しい環境では常に「何が起こるかわからない」といった不安や恐怖がベースにあるからです。
暗闇が怖いのも、トイレやお風呂に一人で入れないのも、基本的には同じ理由です。LUMOの教室でも、泣いてしまう子どもがいます。

理由は大きく2つあって、1つはお母さんなどと離れてしまうこと。いわゆる母子分離不安です。でもこれは教室で楽しく過ごすうちになくなりますし、ご家庭で運動をする場合は関係ないことですよね。
もう1つの理由は、「痛み」です。どういうことかというと、先にお伝えしたように、原始反射(とくにモロー反射)が残っている子どもは、感覚過敏になるため、痛覚が鋭いことが多く、ちょっと当たっただけでも過剰に反応して「痛い!」と泣いてしまうことがあるのです。
緊張感が強いと痛覚も鋭くなります。
痛みに反応しやすくなる
ストレスが高くなると、緊張して交感神経が優位になります。そもそも、モロー反射が起こることそのものがストレスなので、モロー反射が起こるとより過敏になるという悪循環に陥ります。すると、痛みの閾値(いきち)は下がります。
要は、すぐに痛みに反応しやすくなるのです。
それだけでなく、実際は痛くなくても「痛み」の記憶があれば、それだけで痛みを感じてしまいます。触っていないのに「痛い!」という子どももいます。
よく、予防注射をするとき、怖がって泣く子がいますが、注射を打つ前から「痛い」と言って泣いている子もいますね。それはかつて注射が痛かった記憶からきている場合もありますし、「痛い」と思って体が緊張してこわばるから、いざ注射をしたときに、本当に痛みも感じやすくなるのです。
ですから、緊張しいで怖がりで泣き虫なお子さんを叱ったり、我慢を強いたりしてもあまり意味はありません。
それよりも 「何があっても大丈夫」という安心感の中で、モロー反射をとる動きをしましょう。
モロー反射をとるには、その反射と同じ動きをするのが基本です。具体的には「両手を広げて、あおむけになる」動作が入ったものがおすすめです。遊び感覚で楽しく行いましょう。

松本哲
2020年「あきらめを、チャレンジに」をミッションに株式会社Gotoschoolを設立。児童発達支援・放課後等デイサービスの「子ども運動教室LUMO(ルーモ)」や就労支援など、人の成長にかかわる課題解決にむけた事業を展開。原始反射の統合により発達を引き出す独自メソッドを構築。
本間龍介(監修者)
医学博士。スクエアクリニック副院長。米国発達障害児バイオロジカル治療学会フェロー。米国抗加齢医学会フェロー。近年は、副腎疲労治療を応用し、認知症状や発達障がいなど脳のトラブルにも治療効果を上げている。