山形県は、コメの新品種「山形142号」を品種登録し、2027年のデビューを目指すと発表した。高温に強く収穫量が多いのが特徴で、温暖化が進む中でも安定したコメ生産を支える品種として期待される。

“県の奨励する品種”として採用

吉村知事は5日の定例会見で、「生産者から、高温に強い水稲の新品種が強く求められてきた。これまで検討を重ねてきた山形142号を“県の奨励する品種”として採用することとした。白く大粒で、食味に優れ、収量性が高いことが特徴」と発表した。

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山形142号は、「雪若丸」と「やまがた122号」の2つを交配した品種で、今後、品種登録し、2027年のデビューを目指す。

生産コスト抑制の見込みも

県が今回、品種登録に踏み切った背景にあるのは、温暖化によって近年頻発する農業への悪影響だ。

県内主力品種の「高温耐性」一覧
県内主力品種の「高温耐性」一覧

県内の主力品種の「高温耐性」一覧では、県産米の中で、つや姫と雪若丸は9段階の中で4番目に強い「やや強い」である一方、はえぬきは5番目の「中」となっている。

高温少雨に見舞われた2023年、県産米の1等米比率は、はえぬきがわずか31.9%と前年を大きく下回った。一方で、高温に強いとされる雪若丸は86%と高い割合を維持し、改めて暑さに強い品種の重要性が浮き彫りとなった。

山形142号の高温耐性「やや強い」
山形142号の高温耐性「やや強い」

山形142号の高温耐性を見てみると、雪若丸と同じ「やや強い」で、温暖化が進む中でも安定したコメ生産を支える品種として期待される。さらに、収穫量は「はえぬき」よりも多く、生産コストも抑えられると見込まれている。

吉村知事は「(山形142号は)温暖化対策の一環。生産者からも強くニーズがあった。県としても、この山形142号をしっかり生産してもらえるように取り組んでいきたい」と話す。

新品種の名前は小・中学校で募集

注目されるのは、山形142号の県産米の中での位置付けだ。

県はこれまで、生産者の認定が必要なつや姫、生産組織の登録が必要な雪若丸を県産ブランド米としてPRしてきた。一方で「山形142号」には、こうした認定・登録を必要としない考えを示している。

吉村知事は「生産の制限がつや姫ほど強くない。雪若丸もある程度の制限はあるが、山形142号については、幅広い生産者に生産してもらえることが大事」と述べ、「ブランド米」ではなく、収穫量が多い「はえぬき」に並ぶ品種として「山形142号」を位置づけていく考えを示した。

県は、5日から県内全ての小・中学校に「山形142号」の名前を考えてもらうよう募集を始めていて、3月中に決定し、4月に公表する予定。

(さくらんぼテレビ)

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