では、のど飴を何個も続けてなめているとどんな影響が出てくるのか。本橋さんによると、3つの可能性が考えられるそうだ。
なめ続けた時の“口の中”はどうなっている?
まずは「のどの粘膜の抵抗力の低下」だ。
のどの粘膜には「繊毛(せんもう)」とよばれる細胞があり、活発に動くことで、のどへの異物侵入を防ぐバリア機能を果たしている。食べ物を口に含んでいないとき、唾液は「繊毛運動を促す」役割を担うが、飴をなめると消化酵素(アミラーゼなど)の分泌が増え、のどの保護に必要な成分(ムチンなど)が減少する。

そうなることで繊毛運動が鈍くなってしまい、のどに異物やウイルスが入りやすくなってしまう可能性も。また、始めは唾液がたくさん分泌されるが、なめ続けていくうちに減っていき、口も乾きやすくなるという。乾燥状態が続き飴の糖分も増えることで、繊毛運動に悪影響をもたらす場合もあるそうだ。
2つ目は「唾液がべたつき、のどが渇きやすくなる」こと。
のど飴を何個もなめ続けることによって唾液の質も変化。飴の糖分が唾液と混ざることにより、さらさらだった唾液がべたべたした質感になる。唾液がべたつくと、のどの潤滑性が低下して乾燥を感じたり、痰も絡みやすくなってしまうという。

最後は「虫歯のリスク」があることにも留意してほしい。
飴の糖分で口の中は酸性に傾くが、通常はアルカリ性を持つ唾液の分泌により中性が保たれる。しかし、なめすぎるとどんどん口の中の酸性値が高くなっていき、この環境を好む虫歯の原因にもなりうる。
医薬品・医薬部外品ののど飴は、上記に加えて薬としての副作用も出てしまうことがあるので要注意。食品ののど飴は特に個数は決まってはいないが、糖の取りすぎによって血糖値の上昇をもたらす危険も考えられるので、“ほどほど”にしてほしい。
なめすぎはのどの違和感や症状を悪化させてしまう恐れがあるからだ。