投票結果報道はフェイクニュース

すでに埋め立て工事が進んでいる辺野古の海
すでに埋め立て工事が進んでいる辺野古の海
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初めに言っておくが、 僕は沖縄の人たちが米軍は出ていけと言っていることについて、 住民エゴだとは思っていない。

沖縄に住んでいれば、 なぜ沖縄だけが負担しなければいけないのか、 と怒りを覚えるのは当然だ。ただ、だからと言って、 今回の投票で辺野古反対に入れるかどうかは別の話だ。

一部野党や一部メディアは、 住民投票で、辺野古反対が7割を超えたので、 それが沖縄の民意であり、日本政府は辺野古移転をやめろ、 という趣旨の主張をしている。  しかしそれはフェイクニュースだ。  

トリックに騙されるな

 
 

今回の県民投票の有権者は115万3591人。
投票に行った人は60万5385人。 
行かなかった人は54万8206人。

辺野古移設に反対の人は43万4273人
賛成の人は11万4933人
どちらでもない人は5万2682人。

投票に行った人の中で反対の人は確かに7割を超えるが、 全有権者の中の割合を見ると38%、4割弱に過ぎない。 つまり投票に行かなかった54万人を巧妙に無視している、 よくあるトリックだ。

日本の安全保障を弄んだのは誰だ!

ちなみに投票に行かない事は多数意見への白紙委任だと主張する人がいるが、 それは国政選挙など法的拘束力のある投票の場合だ。 今回の投票には拘束力はなく、あくまで 世論の傾向を知事や議会が把握するためのものなのだ。

だから投票に行かなかった人を含め62%が積極的に反対していないのに、 沖縄の民意は辺野古反対だ、と決めつける理由がわからない。

「とうてい許されない状況になった」と発言する立憲民主党・枝野代表
「とうてい許されない状況になった」と発言する立憲民主党・枝野代表

ちなみに旧民主党政権の人たち(連立を組んでいた社民、自由も含む)が、 この間違った前提をもとに だから辺野古はやめろと言っているが いい加減にしてもらいたい。  あなた方が県外だ、国外だ、腹案がある、ごめんやっぱり辺野古だ、などと無責任に日本の安全保障を弄んだことを国民が忘れたとでも思っているのか。

 我々はあの「悪夢」をまた見たくないのだ。 

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】

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平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。