安定的な皇位継承に関して中道改革連合は11日、旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎えることを事実上容認し、これで今国会での皇室典範改正が現実的なものとなった。

中道改革連合の「安定的な皇位継承に関する検討本部」
中道改革連合の「安定的な皇位継承に関する検討本部」
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現在、与野党で議論しているのは、
①    女性皇族が婚姻後も皇族身分を保持する一方、配偶者と子は皇族としない
②    養子縁組による旧皇族の男系男子の皇籍取得
の2案だ。

「嘘ですよね?間違いですよね?」

中道は7日の「安定的な皇位継承に関する検討本部」の会合では、笠浩史本部長が②の「旧宮家養子案」を「認めることも考えられる」と提案し、会合後に笠氏は「おおむね了とされた」と説明していた。

「私も戸惑ってます」
「私も戸惑ってます」

これに対し落選中の枝野幸男・元立憲民主党代表が「嘘ですよね?間違いですよね?」とXに投稿、蓮舫参院議員も「私も戸惑ってます」と投稿するなど立憲系の大物から次々に「待った」がかかった。

中道の小川淳也代表は「大先輩だけに謙虚に耳を傾けたい」と一応先輩を立てたが、一方で「皇室をめぐる喫緊の課題には具体的な対策が求められている。一定の結論を見出す状況に変わりはない」とも強調した。

「嘘ですよね?間違いですよね?」
「嘘ですよね?間違いですよね?」

それにしても枝野氏の「嘘ですよね?間違いですよね?」という投稿ってちょっと子供じみてないか?この問題での中道の取りまとめ役の笠氏がこのような結論を出すであろうことは報道でもすでに出ていたのに、なぜ事前に根回ししなかったのだろう。

それと枝野氏が言う「天皇制を破壊しかねない旧皇族養子案」というのもよくわからない。

GHQの占領下で、財政的な問題もあって皇籍を離脱した旧宮家の一部が復帰することのどこが天皇制の破壊なのか。

皇室典範改正“賛成”9割に

結局11日の検討本部の会合で対応を一任された笠氏は、養子案について「(7日の会合で)私が『認めることも考えられる』と提案したら『容認』と報じられた。そこは『ニュアンスが違うのではないか』との意見もあった。『検討』という表現も含めどういう言い回しが適切か考えたい」と慎重な表現で答えたが、養子案そのものについては「否定しない」と述べている。

国民民主党の足立康史参院議員のXへの投稿によると、皇室典範改正案への各党の賛否は以下の通りだ。その横に衆院と参院の議員数及びその合計の数字もつけてみた。

自民 賛成 316+101=417
維新 賛成 36+19=55
国民 賛成 28+25=53
参政 賛成 15+15=30
みら 賛成 11+1=12
保守 賛成 2(参のみ)
公明 賛成 21(参のみ)
中道 賛成? 48(衆のみ)
立憲 極めて慎重 40(参のみ)
れ新 反対 1+5=6
社民 反対 2(参のみ)
共産 反対 4+7=11

すなわち衆院465人、参院248人の合わせて713人の国会議員のうちの8割を超える590人が改正に賛成である。これに中道が加われば賛成は638人で、賛成率はほぼ9割となる。

なお日本保守党について足立氏は「賛成」に区分していたが、実際には旧宮家の養子案には賛成だが、女性皇族が結婚後も皇族に残ることには反対を表明している。

皇室典範改正案は6月に国会提出か

今後のスケジュールだが、中道の意見集約を受けて15日にも与野党協議が再開され、衆参両院の正副議長が各党の意見を聴取した上で、自民党の政調幹部によると今月中に「立法府の総意」の取りまとめが行われる。

その「総意」を政府に対して勧告し、それを受けて政府が皇室典範改正案を6月には国会に提出、審議するという流れになるということだ。

「やるなら2つともやるだろう」

自民党と日本維新の会の連立合意書には、男系継承が維持されてきた重みを踏まえるとして②の養子案を「第一優先」として今国会での皇室典範改正を目指すと書かれている。

ただ中道の11日の会合では①の「女性皇族の婚姻後の皇族身分の保持」には賛成するが、それに伴う「配偶者と子の身分」の問題については、改正案の附則に「当事者の意向など個別の事情を勘案しながら適時適切に対応する」との項目を盛り込む、として賛否を示さない姿勢を明らかにした。

皇室典範の改正案は6月に国会提出へ
皇室典範の改正案は6月に国会提出へ

そうであれば男系継承は続くので、与党としては①について今国会で採決をためらう理由はないだろう。

また中道は②の養子案についても「慎重な制度設計を行わなければならない」としたが、「否定しない」(笠氏)のだから、中道が②にも賛成する可能性が出てきた。

自民党の政調幹部によると「1案だけということはない。やるなら2つともやるだろう」ということだった。

立憲が保守化か

問題は中道と立憲(参院)にある養子案への根強い慎重論だ。

ただ今回、中道の小川代表ら執行部が「現実派」の笠氏を責任者に指名し取りまとめを急いだのは「なぜ中道だけが決められないのか」という批判に耐えられなかったからだろう。

同時に中道の立憲出身者の中に皇位継承の安定を強く意識する議員が多くいたということもあると思う。これは参院の立憲も同じだ。

「私は立憲では真ん中くらいだ。私より右の人はたくさんいる」
「私は立憲では真ん中くらいだ。私より右の人はたくさんいる」

養子案に慎重な立場を崩さない野田佳彦・元中道共同代表に以前インタビューで「あなたは保守政治家か」と聞いた時に「私は立憲では真ん中くらいだ。私より右の人はたくさんいる」と言われたことがあったのだが、立憲自身が実は保守化しているのかもしれない。

今月一杯行われる「立法府の総意の取りまとめ」の過程で、中道や立憲は「まだ決めるのは早い」などと言い出すだろうか。それはないような気がする。いずれにしても皇室典範の今国会で改正という大きな流れは変わらないだろう。

【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。