静岡発祥と言われているのに、その事実をほとんどの人が知らない幻のローカルフード「たれメンチ」。その正体を探るべく、誕生のきっかけを調査した。
スーパーの総菜コーナーにある
まずは県中部を中心に展開する、地元の食材が集まるスーパーマーケット「田子重」に潜入する。
卵焼きや酢豚など、おいしそうな総菜が並ぶ中に、気になるポップを発見した。
「静岡のソウルフード 甘くておいしい! ごはんもすすむ! たれメンチカツ」

幻の静岡ローカルフード「たれメンチ」の正体は、和風の甘いタレをかけたメンチカツだ。
お店の人に話を聞いて、もっと詳しい情報を集めることにしよう。
田子重 西中原店・増田克己 店長:
たれメンチは、田子重でずっと売れているベストセラーです

静岡のスーパーではよく見かけるが、実は他の地域ではほとんど見ることがないという珍しい総菜なのだ。
気になる味は、タレが甘じょっぱくご飯にもよく合う。田子重では照り焼きのタレを使っていて、メンチカツにかけている。
田子重西中原店・増田 店長:
田子重では私が入社する前、30年以上前からたれメンチを販売していたと思います。静岡のローカルフードだとは最近まで知りませんでした

実はこの「たれメンチ」、静岡発祥のローカルフードだと言われているが、増田店長も詳しいことを知らず「全国で売っていそう」と思っていたそうだ。
田子重を利用するお客さんにも聞いたが、「食べたことはありますが、静岡発祥だとは知りませんでした」という人ばかり。静岡のローカルフードだと認識していなかった。
たれメンチ発祥の地
意外と知られていない「たれメンチ静岡発祥説」。ここからは、その元祖と言われている店を調査する。
ルーツを探るために向かったのは、沼津銀座通りにある「桃屋」。出来立ての揚げ物を挟んだ総菜パンが大人気のお店だ。
カツサンドに、ハムフライサンドに、あった! 「メンチカツサンド(250円)」。

メンチカツサンドは甘タレとソースの2種類がある。パンに挟んであるが、甘タレの方は、まさにたれメンチだ!
桃屋・内田耀子さん:
圧倒的にタレの方が売れています

お店の一番人気という「メンチカツサンド(甘タレ 250円)」。
聞けばヒントにしたのは「みたらし団子」だそうだ。ソースや砂糖や片栗粉でとろみを付けたりして試行錯誤。こうして開発した甘いタレが特徴だ。
桃屋・内田さん:
何十年も前に主人がメンチカツにタレをかければ、むせずに食べられるのではと考えたのがきっかけです
桃屋の内田耀子さんによると、メンチカツサンドは約70年前からある人気メニューだ。さまざまなメニューを作っていく中で、ソースに砂糖を加えた甘いタレが一番売れた。
桃屋が元祖なのか聞くと「たぶんそうだと思う」と内田さん。また桃屋は約70年前、日本で初めて総菜パンを販売したお店とも言われている。
静岡県民のソウルフードとも言える「たれメンチ」。その誕生は、70年も前に生まれた総菜パンがきっかけだった。
■店名 桃屋
■住所 静岡県沼津市町方町5
■営業時間 9:00 ~18:00
■定休 水
■問合せ 055-962-7824
(テレビ静岡)