東京・品川区の人気ラーメン店「江戸一」が、物価高騰の影響により、1月20日に閉店する。
ラーメンのスープ作りにかかるコスト増が経営を圧迫していて、コスト削減が見込める、油(あぶら)そばなど、スープのない麺メニューへの“くら替え”をする店が増えているという。
27年続く人気ラーメン店も物価高のあおりで…
熱々のスープが、しっかりとからんだツヤツヤの麺。
東京・品川区の大井町で27年続く人気のラーメン店だ。

お客さんからは「おいしいです」、「最初寒かったんですけど、食べたら体がポカポカしたのでおいしかったです」の声が聞かれた。

昼時は、この味を求める多くのお客さんで大にぎわいだが、このラーメン店「江戸一」は、さまざまな物価高の影響を受け、27年間続いた店を閉めることを決めた。
人気があるにもかかわらず、1月20日に閉店するのだという。
「20年行ってるんだけど、前は(ラーメンが)650円だったんだけど、(今は)900円。残念です、さみしいです」と、常連客からは閉店を惜しむ声が聞こえた。

ラーメン店の経営環境は、厳しさを増している。
帝国データバンクによると、2024年の1年間のラーメン店の倒産件数は72件にのぼり、過去最多を更新した。

その理由の1つが、ラーメンの“命”ともいえるスープ作りにあるという。

江戸一・店主:
豚骨と鶏のスープを混ぜて作っているスープなんですけど、(スープを)2つ作って。だから2倍かかるっていう、単純計算で。
物価が上がっているので、材料費がすごく上がっているので。
食材だけではない。

スープは長時間煮込む必要があることから、ガス代などの高騰も痛手となって、ラーメン店の経営を圧迫しているという。
“脱スープ”油そば店への転換が増
こうした状況の中で増えているのが、“スープが命”のラーメンから、スープのない麺メニューへのくら替えだ。

扱うのは、スープいらずの「油そば」。

客:
おいしいです。麺がモチモチしていて、すごく相性が良くておいしいです。

常連客:
よい価格。週に何回か来ている。とてもリーズナブルだしおいしい。

「油そば専門店 麺と油」は、2024年11月にラーメンから油そば一本にくら替えし、スープ作りを一切やめたことで、大幅なコストカットに成功したという。

ZENJI・工藤拓也代表取締役:
(スープ作りがなくなったことで)だいたい月で6万円ぐらい人件費が減りました。(原価率)33%ぐらいから20%前後まで削減することができたので。

コストカットできた分は、ソフトドリンクなどの無料サービスで還元しているという。

油そばの専門店をチェーン展開する東京油組総本店によると、2022年からの3年間で店舗数は約2倍に増加し、好調を維持しているという。
(「イット!」1月10日放送より)