稲刈り最盛期を前にJAが会議

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宮城県では9月下旬から稲刈りが最盛期を迎える。
8月29日、宮城県やJAは会議を開き、高温による品質低下の注意点などを共有した。
会議には県やJAの関係者が出席し、県内では猛暑の影響により例年より2日早く出穂期を迎えたものの、おおむね順調に生育していると、稲の生育状況が報告された。

一方で、県北部では高温障害が懸念されている。米粒の内部の亀裂や乾燥のリスクが高いことから、県は生産者に早めの時期での稲刈りを呼びかける。

JAを介さないコメ農家

黒澤さん親子(左:黒澤伸嘉さん 右:黒澤重雄さん) 
黒澤さん親子(左:黒澤伸嘉さん 右:黒澤重雄さん) 

いわゆる“コメ騒動”や、気候の影響で、日々揺れ動くコメ作りの現場。

宮城県涌谷町のコメ農家、黒澤さん親子は、JAを通さず、自ら販売まで行っている。

コメ農家 黒澤重雄さん:
JAを通さなくなってから、かれこれ50年くらいになる。特別JAを嫌いだとか、ケンカしたとかじゃない。自分でしっかり作ったものは、自分でしっかり買ってもらおうという思いから始まり、それをお客さんが理解して買ってくれる。

黒澤さん親子が作る独自のブランド米「おもてなし」は、8月中に収穫される早生種。1990年代の後半、「ひとめぼれ」を栽培していた田んぼに、突如として現れたのだという。

小売価格は5キロあたり税込み5,400円と、平均価格と比較すると1,500円以上上回っているが、品質の高さなどが評判で、すぐに完売する人気ぶりだ。

震災直後、放射性物質による汚染が心配され、県が出荷の自粛を呼び掛けた際にも、専門機関で独自に検査を行い、品質に問題がないことを確認。いち早く取引先に新米を出荷した。

若鮨 伊藤俊郎さん
若鮨 伊藤俊郎さん

黒澤さんから長年コメを購入している寿司店の店主は「香りも光沢も違う。米粒も大きい。」と「おもてなし」を絶賛する。

若鮨 伊藤俊郎さん:
食は誰と手を組むかで価値が上がっていく、そんな時代になってきている

コメ農家とJA

そもそも、JAと農家はどういった関係なのか。

JAは「Japan Agricultural Cooperatives」の略で、一般社団法人全国農業協同組合中央会が組織するグループだ。多くのコメ農家は生産に専念し、JAなどの集荷業者に出荷して、販路の開拓などはその先の卸売業者などが行っている。

JAに出荷することで、農家は収穫から間を置かずに概算金を受け取ることができ、次の年のコメ作りに向けた準備資金に充てられるメリットがある。一方で、JAが提示する買い取り価格が希望する金額ではない場合など、デメリットもある。

国は1970年以降、コメ余りが問題となり、作付面積を制限する事実上の減反政策を導入。コメから麦、大豆などに転作した農家に補助金を出すことでコメの生産量を減らし、市場価格や農家の収入を保ってきた。黒澤さん親子は、そうした減反政策に伴う補助金を受け取らず、自分が信じるコメ作りを貫いてきた。

農業の在り方を見直す必要

JAや補助金に頼ることなく、自立した経営が可能なことを証明してきた黒澤さん親子。補助金や農業の在り方を、根本から見直す議論が必要だという。

コメ農家 黒澤重雄さん:
農業に補助金が要らないとは言わない。一次産業大事だから必要。田んぼの基盤整備、構造改善、土地改良費などに補助金を使って、基礎的な部門を国がきちんと面倒見るべき。

 コメ農家 黒澤伸嘉さん:
継続的に国で補助してくれれば、農業人口もまた復活してくるんじゃないかと思う。

“令和のコメ騒動”令和のコメ騒動で国民からの関心が高まる今、農業は大きな転換期を迎えているのかもしれない。

仙台放送

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