外国人に人気の北海道のニセコエリアの町で、大規模な集合住宅建設計画が進められている。人口の1割近い最大1200人程度が住むことが見込まれているというこの計画、住民の反応を取材した。
規模は最大1200人程度…町の人口の約1割
“世界的リゾート”ニセコエリアに位置する倶知安町。
外国人増加数トップの町で、住民たちの間で波紋が広がっている。

問題の現場を、町の議員が案内してくれた。
北海道・倶知安町 佐藤英俊町議:
こちら一帯がその予定地。この辺も全部集合住宅。近隣の方々は1200人の宿舎ができることで、どれだけの不安を感じるか。

羊蹄山を望むサッカーコート4倍ほどの農地で今、計画されているのが、集合住宅の建設だ。

約30棟に倶知安町の人口の1割近い最大1200人程度が住むことが見込まれている。
開発事業者「結果的に外国人多くなるだけ」
近年、ニセコエリアではスキーリゾートで働く外国人が急増している。

バーで働くフランス人:
ニセコに来て2年ほど。シェアハウスに4人で住んでいます。3万円、月。

ニセコ町から車で10分ほどの倶知安町にも多くの外国人の姿があり、その影響は物価にも表れていた。

8000円超えのハンバーガーや3万円の舟盛りなど、物価はいわゆる“インバウンド価格”に。

総務省の調査によると、倶知安町は外国人の住民が増えた町や村のランキングで1位となり、2024年より833人増加。

2025年の1月の人数は、2年前の同じ月より2000人近く増えた。

今回の開発計画は、こうした季節労働者向けの住宅で、レストランやバーなども入る計画だという。

開発する事業者は「“外国人労働者向け”ではなく、ただの共同住宅として建設します。多くの外国人が働きに来るため、結果的に外国人が多くなるだけです」としている。

こうした説明に、倶知安町の佐藤町議は「外国人のためではないって、はっきり言ってものすごい詭弁(きべん)だと思う。住民の隣地がない郊外に建設して、送迎バスでの体制を事業者が考えてほしい」と話す。
近くの住民からは、「夜なんて安心して寝られない。ちょっと心配ですね」「せいぜい半年だからね。冬の間だけ、雪が解けたら帰っちゃう」など、住む期間が冬期のみという点に不安の声も上がった。
建設に反対の倶知安町民は「町中でゴミの問題とか、夜中に騒ぐとか、そういうことで住民といざこざもある」と話す。

建設に向けて事業者は農地の転用を申請中で、北海道が許可を出すかどうか検討している。
「住める場所増えていい」建設受け入れる町民も
これを受け、町民らはオンラインで集めた4315人分の反対の署名を2日に北海道に提出した。

署名を提出した倶知安町民は、「町の広報にも、今月こんな事件がありましたっていうのが載る。みんな漠然と治安が悪くなってきているのを感じている」と話す。
一方で、「海外から客が来てもらって、町が発展している部分もあるので、時代とともに共存していければいい」「全然家がなくて、借りるだけでも8万円で、集合住宅ができたら住める場所が増えていいと思う」など、建設を受け入れる町民もいた。
北海道は農地転用を許可するかどうか、10月中旬にも判断する方針だ。
(「イット!」 9月8日放送より)